東山彰良、「流」
場所は台北の裏町あたり、時代は戦後すぐのころ、まるで日本の戦後の物語り
を読んでいるようだ。どこにでもいるような悪ガキ達がいる。葉秋生もその1人
だ。いとことつるんで悪いことばかりしてる。そのうち上級学校にも行けなく
なった。2人は悪さがますますつのっていく。そんなある日、爺さんが死ぬ。
殺された? 物盗り? わからん? 爺さんは戦時中かなり曰く付きだったらしい。
しかし死因が気に掛かる? もしかしたら? 知ってる誰かが?
2人はいよいよやばいことに・・、やくざと争ってしまった。
このへんには居れない。おじさんに逃がしてもらう。軍隊に、船乗りに・・
又新たな放埒が始まった。
しかし、死因が気になる?
それと毛毛が。
きっと戻って結婚するぞ。
戦後すぐの台湾、それから中国、不毛の大地、それから日本、怒れる若者達が
疾駆する。とてもスピード感があって面白い。
そして彼らの動きの間から時代が立ち上がって来る。台湾や中国の話なのに
まるで戦後の日本を描いてるような気がする。
商店街のおっちゃん、おばちゃん、近所の人達、親戚の面々、口うるさくて、
押しつけがましくて、おせっかいでどこか優しい。
そしてどうにもならない落ちこぼれたち、どこへいっても壁にぶつかってへこたれて
戻ってくる。
腹立たしくて、楽しくて、次々の展開が楽しみで、気持ちは思い切り一緒に
走って、そして哀しい。
思わずネタバレを一杯教えたくなる。がまんがまん。
とても面白い本だ。
新之介、「凹凸を楽しむ 大阪「高低差」地形散歩」
大分前に中沢新一の「大阪アースダイバー」と言う本をよんで地形、特に大阪
やその周辺を俯瞰してみると、それに歴史と観察眼と斬新な発想が加わると
こういうものが見えて来るのかとびっくり、感心、感動したことがあった。
この本もそういう魅力を持った本だと思う。
大阪やその周辺の街を歩いていると確かに思わぬところで高低差に出会うことが
ある。天王寺のあたり、夕陽丘のあたり、谷町筋のあたり、近くは大阪城の遺構の
関係であったり遠くは難波の宮の関係であったり、出会ったところで歴史に
思いを馳せる材料に事欠かない。
有名どころのよく本にでてくるところでなくても、例えば森ノ宮から西の方を
歩いていたら、いつの間にか目の前に坂があって、そこを登らんと目指すお店
に行けなかったり、例えば、京阪守口駅の北のあたり、普通に歩いていたら、
いつのまにか一段上の街の中を歩いていたり、どこまでいっても土手を越えられ
ないとこに行き着いたりといろんな知らずにいろんな高低差にであうことが
あって、心に余裕があるときはそれを面白いと感じることができる。
この本を読んでいるとああなるほど知ってるわと言うところも多いし、そんな
とこ知らんわ、一回行ってみたいと思うような所も多い。そしてそれにまつわる
歴史上のできごとなんかを解説してもらうと、いままで普通に通り直ぎてたし
いつもは注目もしないようなところが俄然気になってきたりする。
大阪高低差学会という集まりがあって、そういうところを掘り下げる活動をされて
いるようだ。
なるほどこういうところにも思わぬ楽しみがあるのだったか。
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ありがとうございました。