最近、夢中で読んだ本、陳舜臣、永井龍男

  • 2009年2月10日
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陳舜臣、「唐代伝奇」
なかなか楽しめた本だ。
「杜子春」は芥川龍之介の名作になっているし、「枕中記」は「邯鄲の夢」として
能楽になったりもしている。唐代の伝奇小説はいろいろな形で日本に伝えられ、
消化されている。
こういう話は中国に原作があると知りつつも、深くは考えないできているが、
読んでみると、その違いは面白い。
中国と日本の不思議感や奇怪感に微妙な違いや大きな違いがあるのがよくわかる。
「なるほど、元はこういう話だったんだ」と思うことしきりであった。

永井龍男、「東京の横丁」
古本屋をぶらついていて見つけた本だ。昔の東京の裏通りの事を懐かしんで書いた
本かなと思って買ったが、少し違って、作者、永井龍男の半生記のようなものであった。
「どこからでも富士山が見える」時代の東京に生まれた作者が、証券会社の「でっち」
の時代から、作家になっていく半生の中で、大火事や関東大震災、太平洋戦争などの
激変の時代を、どんな暮らしの中でどんな風に見つめて生きてきたのか、
そして菊池寛を初めとする、当時の作家達との親交や、お互いの老いてゆく様を
美しい文章で綴った作品だ。
読んでいると、当時の東京の裏通りの話は、今の中国の裏通りの話に良く似ている。
ありとあらゆるにわか物売りがあり、雑踏があり、井戸端話があり、人情がある。
こういうのをなくして行くのが発展とは残念な事だ。
中国もそうなって欲しくないものだ.

hon090210

毎週火曜は、最近夢中gで読んだ本の話です。