ハーモニカを吹く男

ウォーキングをしていた。いつものように色々な人達とすれ違う。
良く見ると景色もわずかずつだが微妙に変わっていって、そして
季節も移り変わっていく。
今日はおじさんが向こうから自転車に乗ってくる。
ごく普通の景色だ。しかし近づいてくるとどこかおかしい。
妙に違和感があるのだ。それで良く見るとハーモニカを口にくわえている。
ハーモニカを口にくわえるのは実にあたりまえのことで法律違反でも
何でもない。おどろくようなことでもない。
でも、フォークやロックの歌手が舞台でギターを弾きながらハーモニカを
吹く時に使うような方から下げて口の前で固定できる道具をつけているのだ。
「何でや?」と「??????」が一杯頭の前に並ぶ。
「何も自転車で走りながら道具を使ってまでハーモニカ吹かんでもええやん」
と思ってしまうが、それは大きなお世話だ。
しかし妖しい。
しかしちょっとええなあ。
おじさんは気持ちよさそうに吹きながらこっちに向かってきたが、ちょっと
きまり悪そうに向こうを向いた。
iPodのイヤホンを耳から外して、どんな曲を吹いているか聴こうと思ったが
吹くのを止めたのか聞こえない。
残念だ。
こんなのが、「探偵ナイトスクープ」に小ネタ集ででてくるんやなあと思った。
通り過ぎて行った後向こうを見ると、ぽっかりと大きな夕陽がそろそろと
沈んで行くところだった。
まあ、本日も良い一日だったと言えるのだろうか。
何でもないくだらない話でした。

hamonika091024