最近読んだ本、「王とサーカス」、「義太夫を聴こう」

  • 2016年3月16日
  • 1人
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米澤穂信、「王とサーカス」
この本はカトマンズが舞台だ。主人公がカトマンズの裏通りを駆け回る。
去年の四月にネパールで大地震があってからもう1年近くも経ってしまった。
何度もブログで言うてるけど、去年の4月にはわしも友人とネパール旅行をし
ていた。帰ったのが21日やからその4日後に地震が起きたのだ。間一髪で何事
もなく帰国する事ができたけど、実際、世の中、何時、何が起こるか分からへ
んわとつくづく思った事だった。
あの旅でうろうろと歩き回ったカトマンズの街角や建物が殆ど姿を消すか、大
きく変わってしまったのかと思うととても哀しい。それにあの心優しい人達が
大きな痛手を受けた事に心が痛む。それにしても、又行きたいと強く思う街で
はあるんで、内容はともかく是非読んで見たいと思った次第だ。
内容はとても面白い。
太刀洗万智は事情があって新聞社を辞めた。しかし、ジャーナリストの仕事は
続けたい。今は、穴埋め記事のようなルポの仕事しか回ってこないけど、いつ
かバシッと決めてやると思っている。そしてある雑誌から海外旅行の記事を頼
まれてネパール、カトマンズに向かった。
宿泊は、「トーキョーロッジ」、名前からしていかにもうらぶれた裏町のゲス
トハウスぽい。宿泊客もみんなどこか妖しい。
そして早速、サガルという少年が近づいてきた。バッタもんをしつこく売りつ
けようとする。悪ガキみたいやけどどこか憎めない。とうとう言われるがまま
にこの街を案内してもらうことになる。
さっそくカトマンズの街に乗りだそう。
路地は碁盤の目のようにはなっていない。右に曲がって、右に曲がって、右に
まがっても元のところに戻れない。ちょっと歩いたら斜め斜めに交わる交差点
があって、そこは必ず小さな広場になっていてヒンズーの祠があって、神様が
いてはる。それに祈ったり、赤いものをなすりつけたりすわりこんだり、そう
そう、そういう風景がカトマンズの裏通りだった。
そういうところを巡って取材を続けるうちに、王族殺人事件に遭遇した。絶好
の機会ではないか。この報道でチャンスをつかもう。
俄然はりきる。
しかし、突然目の前に死体が出現した。しかも密かにインタビューした相手で
はないか?
一体何で?
私に関係ある?
事態は一気に緊張する。
何処まで取材できて、どこまで報道出来る?
私が報道する意味は?
そして妖しいゲストハウスの住人達はどんな風に関係していたのだろう?
ミステリーとしてよりは、カトマンズの裏町を駆け巡る旅の話としてとても迫
力があって面白い。
又カトマンズに行きたくなった。

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橋本治、「義太夫を聴こう」
最近、文楽に行くときは、見に行くというより、聴きにいくという感覚が強く
なってきている気がする。そやから、良い場所が取れるときは、太夫の前で、
人形の舞台を斜めに見る、舞台に向かって一番右端の席を取ることが多い。
ここやと安心して太夫の語りにひたることができる。
LEDの字幕を見いへんのが一番ええんやけど、意地張ってても気がついたら見
てる時も多い。それでも声を張り上げ、立ったり座ったり熱演が始まると、三
味線と太夫の声がねっとり絡んで前へ前へと勢いづいていくとこちらも思い切
り熱気の中に巻き込まれるような気分に入っていける。
太夫にばっかり気を取られて三味線の役割というのはあんまり気がついてなか
ったけど、この本を読んでなるほどと思う事が多かった。三味線の音は、間の
手だけではない、情景や心理、物語の流れも「音」で表現するのだ、という。
なるほどある意味、太夫と三味線弾きの格闘技のようなもんでもあるかも知れ
んのやね。楽器のようであって楽譜には絶対出来へん、音で覚えるしかないと
言う。そう言う世界なんやと感動した。
もう一つは道行きの話。浄瑠璃の3大道行きとは、「道行旅路の嫁入」、「道
行初音旅」、「道行恋苧環」というらしい。「義経千本桜」は残念ながら聴い
ていないけど、他の2つは劇場で聴いた。
どっちも、ダラダラと浮かれて踊るような、何時までたっても同じような内容
のような起承転結がまったくないような、えらい退屈やなあって思いながら聴
いてたけど、なるほどこういう背景があったんかと思わず膝を打った。
やっぱり全体を見渡して、時代背景も勉強して、何故これがあるのかも勉強し
てそれを見ると意味がわかって楽しめるはずなのだ。
まだまだ修行が足りんとわかった。
もうちょっと義太夫や文楽を勉強してみよう。
やっぱり大阪に根差した文化ではないか。

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