最近読んだ本、「怒り 上、下」

  • 2015年2月15日
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吉田修一、「怒り 上、下」
この人の小説はものすごく上手だと思う。これは絶対映画になるやろとも思う。
そういう派手派手しいうまさが感じられて読んでて不安になることもある。
ある街で、残忍な殺人事件が起こる。大胆でエキセントリックな殺人だ。しかし、
犯人は消えた。
容疑者の特長はわかっている。テレビも大々的に放送されてた。情報は沢山集
まっている。しかし、杳として行方は分からない。
普通の顔になって街の中に溶け込んでしまったか。
東京で暮らすエリートサラリーマンの優馬はゲイだ。有るゲイのたまり場で直人
を拾って、同棲するようになる。直人が何をしてきたか過去は全くの謎だ。
しかし、優馬は彼に安らぎを感じ、どんどん惹かれていく。
千葉の港町に暮らす愛子はある日忽然として家を出ていなくなった。そして、
東京のソープのようなところで身を落としているところを見つかって家に連
れ戻された。救いのない愛子の前に浜崎という男が現れた。
愛子は浜崎とともに再生を願うが、浜崎は過去の何かに縛られている。何があ
ったのか、口を固く閉ざすばかりだ。
泉は母と二人暮らし、生活は楽では無い。いろんな事情があって母と二人とう
とう沖縄まで流れてきた。そこで離島に行った時、離島で暮らす不思議な男と
出会う。
母と泉は沖縄で幸せになれるかと思ったのに・・。
泉とその恋人と不思議な男は?
それぞれ登場した不思議な3人の男達。
それぞれ全く過去は分からないし分からせようとしない。謎に包まれたまま、
物語が展開していく。
彼らの孤独な暮らしと交差する人たち。
何かの瞬間に彼らの頑なさのなかに疑惑の影を見てしまう。
それは実像なのか虚像なのか?
そういう心のざわつきが読者を引っ張っていく。
圧倒的な存在感だ。ストーリーが早いし面白い。
いったい下巻はどうなるんやと心がはやる。
でも下巻になると、ちと面白くないような気になる。
明らかにモデルになった事件があるのは誰にもわかる。そしてそれとの辻褄
あわせのようなところが気になる。
そして、それぞれの男達に新たな展開が。
果たして信じていいのかもしかしたら彼が犯人なのか?
いったい真犯人は誰なのだ。
何故、あんな犯罪を犯したのか?
何故、逃げ回るのか?
話はとても面白い。
でも、終わり方がちょっと気に入らんなあ。

hon150214

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ありがとうございました。