アーナルデュル・インドリダソン、「声」、レイキャヴィクらしき街のとある
ホテルでサンタクロースに扮した男が殺されていた。しかも下半身むき出しで。
男はグドロイグル・エーギルソンというこのホテルのドアマンだった。
単純な物取りか恨みによる殺人?
自殺の可能性もあるのではないのか?
捜査官エーレンデュルが操作を始めるとだんだんと意外な事実が分かって来た。
男に恨みを持つ人物が見当たらない。
では金か?
実は男は少年時代のある時、一世を風靡する歌手であったことがあったのだ。
神の声とも言われたそうだ。大きなコンサートにも出て大きな舞台に乗り出す
はずだった。その幸せをつかむ瞬間に恐ろしい事が起こった。
それで男の人生が狂ってしまったらしいのだ。ところがそんな男が短い絶頂期
に作った僅かなレコードがその希少さ故、マニアの間で高値を呼んでいるらしい。
それなら金目当てなのか?
それともこのホテルに巣くう売春婦とホテルマンたちの金をめぐるとらぶるに
巻き込まれたのか?
それとも麻薬がからんでいる節もある?
男だけではなくて関係する人達の心の闇がつぎつぎと明らかになっていく。
実は捜査官も心に重い物を背負っている。
そして事態は意外な方に進んでいく?
とても面白いミステリーだ。
クリスマスのアイスランドが立ち上がってくる。
ニコラ・ブーヴィェ、「世界の使い方」
はるか昔、学生時代に学校に自動車部とかいうクラブがあって、運営費稼ぎの
ためか唯一所有の車を一般学生にも安い値段で貸してくれることがあった。
それを聞いてしめしめと思い、友達を誘って旅行に行くことにした。
借りに行ったら、何故かやかんを渡された。時々ラジエターに水を補給しろと
言う。ぎくっとなったけど、そのころはそんなもんかと思って出発した。とこ
ろが10kmも走らへんうちにエンコしてしまった。
その後どうしたかは別として、この本の主人公はポンコツ車に乗って旅に出た。
わしらの車よりは、もうちょっとましかもしれん。いきなりは壊れへん。
ポンコツとは言えフィアットだ。
ユーゴスラビア、トルコ、イラン、アフガニスタンと車をだましだまし、直し
直し進んでいく。あちらで1週間こちらで2週間と旅は急がない。
お金もない。友達と2人、絵を売ったり、文を書いたりして僅かな金を稼いで
は地を這うように先にすすむ。いいことわるいことをぜんぶひっくるめて土地
の人びととの交わりが楽しい。
バックパッカーの旅の原点の書らしい。
とても面白い。
それにしても車の直し方がすごい。ギアボックスのギアまで作ってしまう。
先日ミャンマーに行った時も日本の中古車を一杯見た。彼らもガンガン修理し
て使いこなしてしまうんやと思う。
そう思うと、直せば動く車ってすばらしいんやなあって思う。
どんどん電子化されていって、センサー一つ壊れても動かへんようになる車が
多くなっているように思う。
こんなんって文明が進化してるんと違て退化していってるんとちゃうやろか?
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ありがとうございました。