今回は座席の選択を誤った。いつも、と言うてもそうしょっちょう来てるわけ
ではないけど、座席を予約するときに、太夫のすぐ前で、斜め右から舞台を見
る席を選ぶ。太夫の様子を一番よく見えるし、舞台の人形もそれほど遠くない
し、端なんでトイレなんかに移動するのも隣の人にどいてもらわんでもええか
ら気持ちが楽だ。今回も同じ席と思ってたらちょっと後ろだった。
やばい。
お正月やから男性も女性も和服の方が多い。それはそれでとてもええことなん
やけど頭の方も嵩高いかたがおられる。ちと前が見えにくい。
次回から予約の時に気をつけよう。
最近は満席が多かったけど、この日は空席が目立った。席を埋めんとあかんて
言う熱気がちょっと醒めてきたんかな? わしもそうかもしれん。いかんなあ。
外人さんの姿が目立つ。それはいいことだ。
で、舞台が始まる。
時代は中国、明の末期。
明の皇帝のところに韃靼王の使者がやってくる。皇帝の后を嫁によこせという
のだ。賛成派の李蹈天と反対派の呉三桂が争うが賛成派が勢いを得る。
皇帝は堕落している。このままでは国が滅びる。
皇帝は妹の栴檀皇女を李蹈天の嫁にしようとするが、攻め寄せる韃靼国との戦
いの中、呉三桂は命をかけて皇女を守り海に逃がす。
いつか大海原を流され、流されて皇女は日本の平戸に辿りついた。
そこには明国から追放された、鄭芝龍が住んでいる。
皇女を助けたのは鄭芝龍が日本人の妻との間にもうけた男子、和藤内だ。
事情を聞いた3人は明国の滅亡を確信する。それを覆すために明に渡ろう。
明に来たもののもう殆どが韃靼国の支配下だ。頼るすべもない3人は途方に暮れる。
そうだ、鄭芝龍が明を去るときに女の子を残していた。その娘は成人して、
韃靼の五常軍甘輝の妻となっているという。甘輝の城を訪ねよう。
さて、3人は甘輝に助力してもらえるよう説得できるのか?
その方法は?
甘輝将軍の妻、錦祥女が堀に流した紅粉の正体とは?
国を救う英雄の話から、いつしか親子の情、義理の世界に入っていく。
親は子を思い、子は親への恩義を思う。
どちらもを立てることもかなわないならば命を捨てるしかない。
だんだんと哀しい物語りになっていく。
文楽の世界だ。
太夫が声を振り絞る。
泣かせどころだ。
この出し物は、文章語、漢語が多いんでどうしてもかたい喋りになる。
それと上方言葉との対比が面白い。
それに訳の分からん中国語もどきの台詞が入ってなお面白い。
「大明ちんしんにようろ。君へんくるめいたかりんかんきう。とらやあやあ」
舞台も大道具の移動が多く、派手な切り替えが目立って緊張感を高める。
太夫さんも動きに合わせて半立ちになって熱演している。
人形の動きも静動落差が激しいんで、見せ場が多い。
とても面白い出し物だった。
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ありがとうございました。