映画、「クロッシング」

もうすぐ二人目の子供が生まれてくるというのに、何もない。
金がない。食い物もない。
とうとう妻が病気になった。薬もないし、あっても買えない。
なんとかしないと皆死んでしまう。
それでとうとう父は、どんな事をしても金を稼いで薬を買おうと、北朝鮮を抜け出す。
そこから家族の更なる悲劇が始まる。
哀しくて哀しくてやりきれない。
ずっと泣いていてしまった。
この世の不条理をのこらず集めて凝縮して物語りにしたかのようだ。
かなり以前に中国の瀋陽に行った事がある。
「ここは北朝鮮が近いから朝鮮族に人が沢山いるよ」
「金正日バッチなんかも売ってる時あるで」
と言う話を聞いた事がある。北朝鮮からいろんなものが持ち込まれているのだそうだ。
しゃれで聞いていたときはまだよかった。
そんなすぐそばであんな理不尽が行われているのだ。
何故革命がおきないの?
何故反乱がおきないの?
何故ベルリンのように壁がとれないの?
いろんな力のバランスが働いているのか?
このままでよしと考える何かがあるのか?
こういう映画を見ていると無力感がわいてしょうがない。
きつい映画でした。

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毎週木曜は映画、音楽、書画に関する話です。