閻連科、「愉楽」
これはすごいなあって思う。前に莫言の「蛙鳴」を読んだ時にもユーモアのセ
ンスが抜群やなあって思ったけど、この人のビターなユーモアには更に惹き付
けられる。
昔、老舎と言う作家の「駱駝祥子」と言う本を読んだ事がある。
車引きの青年の夢と挫折、庶民の暮らし、混沌と理不尽、そういうものが力強
くビターなユーモアの感覚で書かれていて夢中で読んでしまった。何かおなじ
ようなDNAが働いているんやろか。
ある中国のどこかわからない山の中に受活村というところがある。ある真夏、
そこに大雪が降った。
それがすべての始まりだった。
受活村に異変が始まったのだ。
この村ってそもそも変なのだ。元々どこの行政区にも属さない忘れらたという
よりは誰もしらない村だった。住んでいる住人が又変わっている。
「めくら」、「おし」、「つんぼ」、「ちんば」などなどハンディキャップを
持った人達の集まりなのだ。しかも、それは、外の世界で差別されて暮らして
いけなくなった人達が流れ着いた先ということなのだ。
こんな用語つかってええんやろかと思うほど、差別用語に溢れている。でも、
そうでもせんと表現できへんほどのダイナミズムがこの話の中に渦巻いている。
と言うのはここはハンディキャッパー達の流れ着いた先の暗くて哀しい暮らし
の村かと言うと決してそうではない。それぞれの不具合を逆手にとって、特技
を作り、お互いに助け合って、ある種のユートピアのような世界を作っている
のだ。
さて、どこにも属さなかったはずのこの村が茅枝婆の尽力である県に属したの
ももうずいぶん前の話だ。そして、不幸な出生の壁を乗り越えてなんとか県長
まで上りつめた柳県長が登場する。
この男が又世に奇妙な思い付きをしてしまうのだ。
「レーニンの遺体を買ってこよう」、そして「この県にレーニン廟を建てよう」
それが出来たら、巨万の富を得ることができる。この県は大発展間違い無しだ。
その為には資金が必要だ。
ええ考えがある。
受活村の特技あるかたわもの達を組織化して「絶技団」なるものを作るのだ。
彼らを連れて村々を巡り金を取って演技をすればいくらでも金が入ってくる。
そんなアホな!!と思いきや。
その通り。いくらでも金が入ってくる。
さて、それからどうなる。
彼らは金持ちになるのか?
幸せになるのか?
レーニンの遺体は買えるのか?
レーニン廟は建つのか?
県長はどうなる。
波瀾万丈の話が待っているのだ。
最初は偽悪的ないやな話をおもしろおかしく展開するやつかいなとあまり気持
よく読み始めなかったけど、読むにつれてどんどん引き込まれてしまった。
どんな時が幸せと言っていいのか色々考えてしまう。
とても面白い本だ。
ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ、「ヴォルテール、只今参上」
昔の有名な思想家で作家のヴォルテールって実はこんな人だったというような
話で、知ってる人にはなんやそんなんって思うような話やろうけどわしは知ら
んかったんでそれなりに面白かった。
この時代の宮廷や貴族の人達の性や男女関係のおおらかさというか自由奔放さ
というのは聞いてはいたが改めてなるほどそうなんやと面白い。
フリードリヒ2世とも親交があり、尊敬もされ、確執もあったというのはよく
知られた話らしいけどわしは知らなんだ。
この頃はドイツ皇帝といえどもドイツ語よりフランス語を喋る事の方がおしゃ
れやったらしい。
今でも日本を始めアジアのいろんな国で英語を喋ることがステータスだったり
するのと同じやね。
それにやっぱりいつの世でもしっかりしてるのは女性たちなのだ。
軽妙なタッチでそれなりに面白い本だ。
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ありがとうございました。