ある日、いつもの時間に、いつものコースをウォーキングしていたら、とても
シュールな光景が目に入った。
朝から時ならぬ霧が街の中にも立ちこめているような日だった。いつものよう
にバス停を左手向こうに見ながら進んで行く。
ごくごく普通の風景だ。
けど、なんかおかしい。
バス停になんかいてる。
よう見たら白鷺が立っているのだ。大きい。
白鷺と言うても真っ白とちがう。薄汚れた灰色のコートを着た爺さんみたいだ。
しかもところどころ黒い継ぎ当てをあてたように羽根がくろずんでる。
それでいて、しゅっと立った姿は美しい。
無表情に前を向くその顔は哲学的ですらあるようだ。
意味ありげに、ゆっくり2,3歩前に歩いたり、後ろに歩いたりしてる。
不遜なようで、鷹揚そうでもある。
何も考えてへんのにあんな動きができるってすばらしい。
バス停でバスを待ってるのは他に二人いてはった。
一人は、お婆さんで、歩行補助の為に買い物カートを押してはる。
後一人はお爺さんで、寒そうにダウンジャケットのポケットに手を突っ込んで
はる。この3人、何かええ感じで収まってる。
霧は晴れない。
バスはなかなか来ない。
後ろには喫茶店があって、いつもあまり人が入ってる風では無いけど、今時、
どんな人が出入りしてはんのやろ。
扉をギーッと開けたら、静かなジャズかなんかが流れてるんやろか。
クリフォード・ブラウンのトランペットをバックにサラ・ヴォーンがアンニュイ
に歌ったりしてるんやろか。
・・・
sometime,sometime,sometime,when I get to feeling low
I say,I say, let’s call it quit,
・・・
その横は露地で、奥は唯の住宅街だ。
皆さん朝飯食ってはるかもしれへん。
それで、バスが来たら、白鷺くんはどうするんやろ?
「ふっ」って横向くだけなんやろなあ。
とまあ、そんなどうでもええことに気を取られてたら、足が前に進まへん。
明くる日も又、同じとこに白鷺くんが居てはった。
その次の日はもう居てへん。
どこへ行ってしもたんやろ?
何でも、気になるもんは絵にしてしまおうという練習でした。
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ありがとうございました。