ダニヤール・ムイーヌッディーン、「遠い部屋、遠い奇跡」
パキスタンの作家の本は初めて読む。
読み始めからすばらしい本だと思った。総ての短編が格調高い文章で綴られて
いる。
「電気技師ナワーブッディーン」、「サリーマー」、「養え、養え」、「燃え
る少女をめぐって」、「遠い部屋、遠い奇蹟」、「パリの我らが貴婦人」、
「リリー」、「甘やかされた男」
パキスタンのある田舎に大地主のハールーニー家という一家が代々領地を持って
暮らしていた。
有る時は、その家に出入りする電気技師の物語りが語られる。
又、有るときは、その家に転がり込んだ料理女の物語だ。
その女は料理人をたらし込んで、次は誰かをと、必死でその家に居座ろうと頑張
っている。
家庭教師で入りこんだ若い娘が、その主人といい仲になってしまう話もある。
あるいは、新しいビジネスで成功したかに見えた当主がいつのまにか没落してし
まう話も。
その土地、そこに暮らす人、その人達と関わる人たち、様々な人間模様を、時代
が変わり人が変わり、舞台が変わっていくようで、それぞれが関連あるような、
無いような、様々な物語が淡々と語られ行く。
貧しさからどうしても抜けられない人たち、身分制の中で何とか這い上がろうと
あがく人たち、時代の流れから取り残されていく人たち。
優しく、もの悲しく描かれていく。
この本って何語で書かれているんやろ。
ロジャー・ホッブス、「時限紙幣」
実に面白い。軽快でスピードがある。アクションが一杯。
映画にするしかないようなビジュアルに溢れている。
ある日有る時、2人の男が銀行を襲った。
平凡な銀行強盗だが、秒単位で周到に準備されたヤマだ。
失敗するはずがない。
しかし、何故か、相棒が殺された。何かがおかしい。
男達の1人が大金を持って姿を消した。
捕まるのは時間の問題か?
ゴーストマンと呼ばれる男がいる。その存在を消して存在するのが仕事なのだ。
誰かの存在を消すというのが仕事でもある。誰にも居所はわからない。
そのゴーストマンがある仕事を依頼された。
本来なら受けるべきで無い仕事だ。あぶない予感がする。
しかし、昔のヤマでドジをした借りがある。やらなければしょうがない。
無くなった金を追うのだ。
金には仕掛けがあって48時間で爆発する。残された時間は少ない。
金を奪い返すのが目的なのか? 誰かに押しつけるのが目的なのか?
FBIも動いている。
あの女捜査官は敵なのか味方なのか?
裏切り者は誰だ?
新しいミステリーの仕掛けが沢山あって実に面白い。
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ありがとうございました。