大乗寺、「丸山応挙美術館」

先日、兵庫県香住の大乗寺にある、「丸山応挙美術館」に行った。
大乗寺というお寺に別途、美術館があるというわけではなくて、
寺そのものが応挙一門の企画と作品で出来上がっているのだ。
たまたま、テレビ番組を見ていたら、この寺の画に纏わる特集が
あって、今月中で、実物の展示は終わって、デジタル複製画像に
置き換わってしまうという事なので、急いで行ったのだ。
まあ、総てが置き換わるわけではなくて、メインの襖絵が置き換わる
だけという事だったが、それでも早く見ておいてよかった。
有名人の作品をベタベタと並べているのではないのだ。
総ての部屋の総ての画が相互に繋がりを持って描かれている。
そして夫々の画も、見る角度や、襖の開け閉めで様々な姿を見せる
よう演出されている。
応挙はこの総ての企みを、この地に来る事なく、京都で居ながらにして
完成させたというのだからすごい。
今回は、単眼鏡も大いに役に立った。
参観の人が結構いるし、部屋も薄暗い。画の傷みもある。
こういう画は、仄暗い部屋によくあうのだが、画の技巧までは見られない。
それで単眼鏡が活躍するのだ。
孔雀の間、郭子義の間、山水の間、それぞれの素晴らしい画を巡っていて、
よくよく単眼鏡で見てみれば、すばらしい技巧が更に詳細に見える。
孔雀の羽が透き通っている。衣服の紗の模様までが際立っている。
松の葉の見事な事。山水の線も味がある。
応挙だけでなく、弟子の画もすごい。
禿山の間の呉春、猿の間の芦雪等、どれもすごい。勿論弟子といっても
巨匠達だから当たり前だが。

daijoji090321

大阪から片道3時間強。いい体験ができた。