前に三条木屋町あたりをぶらぶらしてた事があった。その横道になにやら気に
なる店を見つけた。どうも画材屋さんらしい。それも日本画の顔料の専門店の
ようなのだ。
わしがやってる水墨画にも色はつける。しかし、日本画のようにペタペタ塗る
んではなくて、画面のなじみがええように墨を混ぜて、ごく少量の色をさっと
付けるのだ。これがなかなかうまいこといかへん。
ちょっとだけでも透明感があって薄いけど色はちゃんと感じるというようなの
がないのだ。水彩画に遣う絵の具も使ってみた。いい絵の具は確かに薄くても
透明感があってなかなかええ感じではあるけど墨とは馴染むがよくない。今は
皿に入った水干絵の具を使ってるけどちょっと不満だ。
そんな気持ちであったんで、なんかええのんないかいなって寄ってみたのだ。
相当古い店らしい。
やっぱり京都やなあ。応仁の乱の頃からあるんかどうかはわからへん。
聞いて見たら、富岡鉄斎って知ってはるか? あの人はうちの絵の具使っては
ったんやでと言う。すごいなあ。鉄斎にあやかりたいなあって思う。
「皿に入った水干絵具でええのんないですか?」って聞く。
「うちのは特にええちゅうことないですよ。普通です。」って言われる。
でも、何か自信ありげだ。
「ウチは中国の絵具と違て絶対化学薬品使うてません。」って言い切る。
それは大事な事や。
「何がええちゅうと伸びがええて言わはりますね。よう馴染んで伸びるから、
あまり水洗に絵具、無駄にほかさんですむんですわ。」って笑いながら言う。
まあ試しにと、この日は、三原色の藍と藤黄、代赭、それに緑青を買って帰った。
しばらくして、水墨画に彩色する機会があったんで早速使ってみた。
えらいええやんか。薄くても色つきがいい。墨とも相性がええみたいや。それ
に透明感がすごいある。気に入ったんで後日又買いに行った。
そんなに何もかも買うほどお金に余裕はないんで今回は、朱と臙脂だ。そろそ
ろ紅葉を描きたい季節なのだ。
お店のご主人に、「前に買うた絵具えらいよかったですわ。」って言うたら、
満面の笑顔で、「そらそうでっしゃろ。」って胸を張る。やっぱり自信を持っ
てはったんやわ。わからんやつに能書き言うても片腹いたいだけやって思ては
ったんやね。「やっとわかりましたか。」なんてご機嫌だ。
確かに普通の画材屋さんで売ってるやつよりは少々高いけど、それだけの値打
ちがあると思う。やっぱり京都は奥が深い。文化の歴史がある。
ええとこ見つけたと思う。
他の色もそろえていかんとあかんなあ。
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ありがとうございました。