吉村昭、「ふぉん・しいほるとの娘」
読みかけてちと後悔した。こんなに長い本やとは思えへんかった。しかも単行
本やったんで持ち運びが重いしかさ高い。それでも、すごい本やった。途中か
ら一気に惹きつけられて最後まで夢中で読んでしまった。
幕末の時代の話だ。日本を揺るがした革命の日々、勤皇、佐幕の志士達が活躍
してた時代に映画やテレビや小説の上でもドラマチックだった場所の横っちょ
あるいは裏通りで只者ではない一生を送った女がいた。
舞台は長崎の出島から始まる。フォン・シーボルトというドイツ人はオランダ
人と称してオランダ船にやってきた。高名な医学者ということで忽ち要人とい
てもてなされるようになり、そのため、蘭学を志す若者や西洋医学を志す若者
達に教えることを許され、ますますもてはやされるようになる。あげくは、江
戸まで使節に従って行くことを許される身分ともなった。
その間にシーボルトは出島の芸者、其扇(お滝)と女の子をもうける。幸せな
生活だ。
しかし、シーボルトには別の顔があった。今でいるスパイ、立場を利用して日
本の情報を集めオランダ本国に送るというのだ。そのためには手段を選ばない
人でもあったらしい。シーボルトがそろそろオランダに帰ると言う頃、これが
発覚する。シーボルトを師と慕う人たちも多くは利用されていた。このために
維新後を支えたかもしれない多くの優秀な若者達が獄につながれ死んで行く事
になった。
こんな話、知らんかったなあ。
シーボルトは国外追放みたいなかたちで国に帰った。
それでもシーボルトを敬愛する人たちが残っている。娘、イネはシーボルトの
事を知って医者になりたいと思った。
それを弟子たちが支援する。しかし、又波乱が。
イネも私生児を産むはめになる。
時代の沸騰とともにイネの人生も波乱万丈だ。
そして日本で最初の女医が誕生する。
とても読み応えのある本であった。
松村美香、「利権聖域 ロロ・ジョングランの歌声」
ブログでインドネシア、ジョグジャカルタにあるボルブドール遺跡やプランバ
ナン寺院に行った話しをしたけど、そのプランバナン寺院というのは、別名、
ロロ・ジョングラン寺院と言われていて、美貌の王女、ロロ・ジョングランの悲
話が語り継がれているのだそうだ。
おもろいやんか、それってどんなんやろってネットで調べてたら、この本が引
っ掛かった。どんな関係があるんかわからんけど、副題に付いてるくらいやか
らおもろいかも知れんと思って読むことにした。
それでこれは、インドネシアへの経済援助にまつわる政界、財界の疑惑の話。
週刊誌記者である菜々美がインドネシアの中部大地震の取材に行く事になった。
それは、東ティモール独立紛争に巻き込まれて謎の死をとげた従兄弟の死の疑
惑をさぐるためでもあった。
そして、彼女自身も様々な謎に巻き込まれていく。
地震で倒壊したプランバナン寺院にはロロ・ジョングラン王女の物語がある。
そこに行った恋人たちは彼女の悲劇にならって別れが待っているらしい。
従兄弟の残した写真は何を物語るのか?
事件は巨大な疑惑に迫っていくのか?
ちょうど行ったばっかりのとこなんで、場面が立ち上がって愉しかった。
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ありがとうございました。