旅行記を書いていて随分時間がたってしまった。大分前に見た映画の話をしよう。
おばさんんがやってきた。お母さんのお姉さんだ。
「おばさんは今までどこにいたの?」
「ずっと遠い所よ」
「どうして今まで一度も来た事がないの?」
実は刑務所に入っていたのだ。
だんだん重い、重い話がわかってくる。
実の我が子を殺してしまったのだ。
死の病で苦しむ息子を医者である彼女が安楽死させたのだ。無表情に煙草を吸う姿が
心の闇の深さをあらわしている。
妹も重い物を背負って生きてきている。子殺しの犯罪者の家族だ。
それでもベトナムの養女を迎えていい家庭を築いて生きている。素晴らしい家族や
友人達がいる。
そして、その姉の心を少しずつ、根気よく解きほぐしていくのだ。
厳しい人や心無い人もいるけど、痛みを分かる人も多いのだ。
人の心は、人の心を通してしか癒されないだろう。
エンディングロールを見ていて気がついたが、
最後に流れていた歌は「バルバラ」が歌っていた。
「・・・あなたは、知っているんでしょう。過ぎ去った事は、戻ってはこない事を・・・・」
柔らかく、深い歌声だった。
過ぎ去った事は戻ってはこないけど。
今ここに愛する人がいる。
重いけど、いろいろ考えさせられる良い映画でだった。