映画、「浮城」を見た

香港には何度か行った事がある。特に現役時代は深センに出張する事があって
その時は香港経由で行くことが多かった。
深センから香港への列車の中で二日酔いが収まらず、途中の駅に転がり出て、
ゲロを吐いてしまった恥ずかしい思いでもある。その時の駅の処置が素晴らし
かった。わしを車椅子に乗せてあっというまに介護室に運び込んでしまった。
香港て、喧しくて、雑然としてて、食いモンが美味しいとこ。
どこに行っても安くてうまい食いモン屋さんには事欠かへんとこ。
いつも小柄で元気一杯の女性がパワー全開で働いてるとこ。
上半身裸のあるいは下着姿のおっちゃんが腹だして闊歩してるとこ。
ビルの中でも、電車の中でも、深センに渡るフェリーの中でも、どこに行って
も冷房がきつい。それはどうも消臭装置の代わりに使われてるらしいというの
だ。そしてビジネス街のすぐ裏通りには貧しそうな汚げな界隈が沢山ある。
そんな風な街なんやなあって漠然と思ってた。
その香港も返還を境に微妙に変わってきたなあって思ってたけど、何がどうか
詳しいことは通りすがりにはわからへん。
香港に、水上生活者がいるというのは知らんではなかったけど見たことはなか
った。
蛋民と呼ばれるらしい。
彼らは、漁に出て魚をとったり、港の船々から残飯を集めたりして暮らしてい
ると言う。ある、残飯集めの娘がイギリスの軍艦の水夫に騙され乱暴されて子
を産んだ。どうしようもない娘はその子を売らなければしょうがない。500
ドルである蛋民の夫婦に買われた少年の外観はまるで外国人であった。
水上生活者の生活は厳しく悲惨だ。
家族の上にも少年の上にも耐え難い試練が襲い掛かってくる。その上、少年に
は混血であるがゆえの差別までもが突き刺さる。
でも生きるためにはやらんとしょうがない。少年は頑張る。とうとう東インド
会社に労働者として入り込み、少しずつ這い上がり始めた。
異端の魚が鯛になれるのか?
選び抜かれたエリートの中を泳ぎきれるのか?
美人の令嬢とどうなってしまうのか?
妻や子はどうなる?
自分はいったい何者なのだ?
実の母に会うことはできるのか?

そして香港返還。
戦争から革命、返還と怒涛の時代にこんな闇もあったのだ。
ちょっと違う香港を見た。
港を出ていく帆船が海のなかに小さく消えていった。
太陽が静かに沈んでいく。

eiga140710
絵になる景色やけど絵に描くのは難しい。

eiga140711
是非、劇場でご覧あれ。

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ありがとうございました。