陸文夫、「美食家」
この本は以前にこのブログで紹介した南條竹則、「中華美味紀行」の中に出てきた
ので是非読んでみたいとAmazonを検索して買ったものだ。運が良い事に、古書と
いうことで800円で購入できたが、今は3000円以上になっている。よかった。
この本、実に面白い。
朱自治という男、徹底した美食家だ。どのような食材をどのように使って、
どう調理する。どのような順番で、どのような容器で、どのように食べる。
酒は?、会話は?、シチュエーションは?何故そこまで、こだわるのだ。
何故そんな文化が必要なのだ。毎日、必要な栄養がとれて、健康に
暮らせればいいではないかと美食家を憎み攻撃する男がいる。そういう諍いの
中で、中国料理、蘇州料理の豊かさ奥深さが山のように膨らんで、すぐにでも
蘇州に食べに行きたくなる。上に天、下に蘇杭と言われるように文化の爛熟した
時代があり、清の時代も乾隆帝が蘇州料理を愛でたという土地柄だ。
朱鴻興の汁ソバはうまかったなあ。ちょっとだけ塩からかったけど。
豪華な「蟹味噌麺」は確か12元くらい。
一ノ瀬泰造、「地雷を踏んだらサヨウナラ」
シュムリアップの街というよりは村を出ると、すぐに地道になり、畑があって
野山がある。バイクの後ろに荷車をくっつけたようなバイクタクシーに乗って
小1時間も走ると、検問所が見える。といっても今は軍事境界ではなくて
唯の料金所だ。そこから森と水の中を30分ほど走ると、急に目の前が開けて
驚くべき水上宮殿が現れる。
アンコールワットだ。
長い歴史の中にうずもれていた石の宮殿は見事な石刻に埋め尽くされている。
すばらしい。
この平和が訪れるまで、何年も悲惨な戦乱時代があった。
開放されたのは、つい20数年前の話だ。
ベトナムやラオス、カンボジアの戦争の悲惨とそれでも生きていかないと
いけない人々の生き様を写真に切り取りつづける事に賭けた若者がいて、
最後は、クメール・ルージュが立てこもるアンコールの遺跡に到達する事
にこだわり、なんども試みて、最後に死んだ。
毎週、火曜は最近夢中で読んだ本の話です。