最近読んだ本、「浮雲」、「ひとり旅」

  • 2014年4月16日
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林芙美子、「浮雲」
林芙美子は放浪記があまりにも有名で、舞台で超ロングランとかあるんで、読
むのは敬遠してた。しかし、沢木耕太郎のベトナムの旅の話を読んでいたら、
ベトナムの中部、フエやダラットが舞台になった「浮雲」と言う小説があると
知った。
これは面白そう。さっそく読んでみよう。
戦時下、義弟との不倫の果てに居り場を失ったゆき子はベトナムに向かう。
ダラットでタイピストをすることになった。高原の保養地ダラットは行った事
がないけどとてもええとこやと聞いている。そしてフエやダナン、ホイアンら
しきところがでてきて懐かしい。南国のけだるい暮らしが立ち上がってくるよ
うだ。そこで知り合った富岡と深い仲になる。
そして終戦。東京に引き上げたゆき子には又もや居場所がない。やっとめぐり
あった富岡ともうまくゆかない。焦土の中で堕ちていくが腐れ縁は切れない。
とうとう二人は屋久島へ。
降り止まない雨の中でとうとう・・・・。
この物語。女と男の業を描いてるようでもあるが、何故か旅の物語のようにも
読んでしまった。とてもおもしろい。

hon140414-1

吉村昭、「ひとり旅」
事実こそ小説なりという立場を貫いた人。徹底した調査と取材を通して物語を
練り上げていく。そういう話をなんとなく漏れ聞いてはいたけど、それがどん
なことかはようわからんかった。
「戦艦武蔵」や「桜田門の変」、天狗党や彰義隊の事を書くときにどんな風に
調査したのかというようなことを知ることが出来て実に興味深かった。
あくまでも資料の一言半句にこだわり、この日はどんな天気で何があった。
誰と誰が何をした。だからこの事件はこうなった。納得がいくまで徹底的に調
べていくと必ずそれは小説になるというわけだ。だから既成の歴史像、人物像
にも疑問を投げかけるのだ。
この人の真面目で誠実な人柄がよく覗えるエッセイ集であった。
この人の小説をゆっくり読んでみたくなった。

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ありがとうございました。