いい映画を見た。
どこがどういいのか説明するのは難しいけど、見終わった時の後味がいい。
シリアスなわけではない。深く考えさせられるというものでもない。
手に汗にぎるところは全く無い。誰かが死ぬとか苦しむという話でもない。
ただただ日常が静かに過ぎて行く。
そんな不思議な映画なのだ。
総ての受験に失敗してしまった朔子が叔母さんの誘いで、海辺の町にやってきて
別の叔母さんの家の留守番暮らしをしばらく二人ですることになる。
一緒に暮らす叔母さんは素敵な人で、頭がよくてかっこいい。
恋も多そうだがミステリアスなところがある。
そしてある日、朔子は福島から避難してきた不登校の高校生と知り合う。
朔子には仄かな恋心が芽生える。
こんな展開がパンフレットにあった。
パンフレットで朔子が水の輪を見つめる映像もえらい美しかった。
このあたりまで見てると何や映像美にあふれた青春グラフティみたいなやつ
なんかやろなあ。
後は叔母さんの恋物語やおじさんの過去やなんやらかんやらがからんで
ラブストーリーみたいに展開していくに違いないって思い込みながら見てた。
しかし映画が進むにつれて全然違う世界に引き込まれてしまったのだ。
絵で言えば、アンリ・ルソーやルネ・マグリットの絵を見てるみたい。
わしにはえらいシュールに見える。
画面を通りすぎていくのは唯の日常。事件もなんも起こらへん。
もし、何かが起こりかけても、そこから何か特別な世界に入っていくのではな
くて、ごく日常がなりゆくようなことに自然にながれていくだけなのだ。
しかし、そういうただの日常の背後にはそれぞれの人たちが抱える深い何かが
ありそうなのだ。
複雑でミステリアスなものがありそうな空気がだんだんと流れる時間を濃厚に
していっているように思える。
そういう不思議な感じのする映画であった。
映画については素人なんでようわからんけど、シュール感ただよう絵を見て
たり、本を読んでたりするときのような気持ちになる映画であった。
毎日のように子供のような女学生をラブホに連れこんでいるエロおやじ、何が
やつをそこまで駆り立てるんやろ。
シュールやなあ。
わしの映画の見方、きっと間違うてるんやろなあ。
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ありがとうございました。
