トマス・レヴェンソン(寺西 のぶ子訳) 、「ニュートンと贋金づくり」
先日紹介した「英国一家、日本を食べる」って本がえらいおもろかった。
読みながら思ったのは、原作も内容も面白ろいけど、もしかしたら、翻訳が
うまいせいもあるんちゃうやろかと言うことだった。それで巻末にある翻訳した
人の翻訳書一覧を見てると「ニュートンと贋金づくり」と言うのがあった。
これも面白ろそうやないか。
ニュートン言うたらリンゴやろと言うくらいで唯のお堅い学者先生やとばっかり
思うてた。えらい印象が違うてた。
物理学者であり、哲学者であってロマンチストなんやね。
この世と宇宙の運行の仕組みは良く考えれば総て解けるはずや。必ず解いて見せる
と言う人生を送った人なのだ。
かのプリンピキアはそうやって出来たのだ。しかしこれで殆どやることが終わった
と思ったニュートンは錬金術なんかに凝りはじめたのだ。ニュートンの前半生の
話も新鮮で面白い。
それで、後半生。
学究の人生を送るニュートンがなんと造幣局のえらいさんになるのだ。
名誉職みたいなモンになるはずが、おりしも贋金事件の真っ最中。
まだ紙幣はないし、銀貨を鋳潰して地金で海外に持っていけば儲かるという時代。
しかも鋳造技術がお粗末で、なんぼでも贋金作れるから正規の銀貨から銀を
取って、粗悪な偽者と入れ替えるやからが沢山でてきたのだ。
これをなんとかせんとあかん。ニュートンは本気で立ちあがった。
もちまえの論理思考で容疑者達を追い詰めていく。
いやいやミステリーのようで実におもしろい。
やっぱり翻訳の力もあるんとちゃうやろか。
徳永圭、「片桐酒店の副業」
うらぶれた商店街に一軒の酒屋がある。
これだけで食っていけるんやろかというような店だ。実はこの店の主人、面白
い副業を営んでいる。
「何でも配達します」というやつなのだ。
いろいろ面白い配達ものが出てくる。
そして事件が起こる。昔、引き受けた配達物、「10年後の自分に送る手紙」に
からんで話がどんどんややこしくなっていくのだ。
「悪意を送ってください」のやりかたがおもしろい。
リズミカルに話が進むし、意外なアイデアも沢山でてくる。愉快で読みやすい
ストーリーだ。
しかし、なんか大きく物足りんね。
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ありがとうございました。