マイケル・ブース(寺西のぶ子訳)、「英国一家、日本を食べる」
この本、実に面白い。それだけではなくて、どうもこの人只者ではなさそうだ。
イギリスのフードライターあるいはトラベルフードライターらしい。
それってどんなんかようわからんけど。やたら食いもんに詳しい。しかも食う
事が大好きで肥えた体をひきずって美味いもんの気配がするありとあらゆる所に
出没するのだそうだ。その人が友達の影響で日本料理に目覚めたらしい。
そして辻静雄の名著『Japanese Cooking A Simple Art』を読んで俄然日本料理
に興味がわいて、何はさておきと、日本に来てしまった話なのだ。
東京から始まって、北海道、京都、大阪、福岡などなど日本中を食いまくる話は
実に面白い。
鼻持ちならん西欧料理通の通りすがりの日本ちょい食べ旅とはかなり趣が違って
いる。日本料理に対する研究と傾倒ぶり、うまいもんを食うということに対する
執着が生き生きと伝わってどんどん読んでしまう。食いもん美味しさや感動を
文章で表現するのは非常に難しいと思うんやけど、知ってるとこはそうそう
そやねんと相槌がでるし、知らんとこは、素直にほうそんなとこやったら行って
みたいと思わせる。
賛同できかねるところもあるし、文が格別うまいと言うわけでもないと思うけど
この人の探究心に引っ張られてしまう。
それと翻訳した人の力もすごいんやないやろかと思ってしまった。
愛すべき、美味いもん食いのお話であった。
読んだ後思ったのは、こんな風に日本料理を評価して気に入ってくれる外国の
人がいてるし、世界遺産にもなったと言うのに、わしらの身の回りでは、昔から
の日本の食べ物がどんどん消えつつあるというのを改めて寂しく感じた。
フレンチやらイタリアンやら言うて、食通ぶったりしてたら、うちに大事な
文化や伝統をなくしてしまうやんか。
大倉崇裕、「夏雷」
登山小説と推理小説が一体化してるのは珍しい。
警官から落ちこぼれて探偵になり、さらにはみ出して何でも屋になって身過ぎ
世過ぎをしている男がいる。ある時は老人の買い物代行。ある時は天井裏から
死んだ鼠を引きずり出す作業。ある時は飲食店で因縁つけるやつからの殴られ屋。
しがない日々だ。そんな所に不思議な依頼が舞い込む。槍ヶ岳に登らせてくれ
と言う依頼だ。そしてそこからずるずると事件に巻き込まれ始めた。
依頼主は何故槍ヶ岳に登りたいのか?
依頼主は何故男に依頼しなければいけなかったのか?
男にとっても槍ヶ岳は曰くつきの山なのだ。
結局、登山のための訓練が始まる。
しかし、ある日・・・・・・・。
サスペンスはそこそこやけど山登りの話は面白い。
昔行ったことがあるとこも沢山出てきて懐かしい。
又、山に行ってみたいなあ。しかし、もう体が言うこときかへんやろなあ。
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ありがとうございました。