ハンナ・ティンティ、「父を撃った12の銃弾」。
父の娘の放浪の物語。わしの好きなロードものでもある。
一所不在の暮らし。
ルーが12歳になったとき、父親のホーリーはわが子に銃の撃ち方を教えた。
こんな出だしで始まる物語だ。
ルーは学校に行っても、友達ができても落ち着かない。落ち着きそうになったら
父親が荷物をまとめるように言う。
車に乗って次の街へ。何故か?
何かから逃げている?
過去から?
何故、銃が必要なのか?
父、ホーリーの体には銃弾の跡がある。
何故?
それが彼の人生? 人生から逃げる理由? 物語はそれを辿る。
母リリーは若くして死んだらしい? 何故? それが放浪の暮らしに関係がある?
何だかとても重くて深い闇を背負ってしまったらしい。
とうとう故郷に戻って来たか? しかし、リリーの母は受け入れてくれない。
母の死が原因なのか?
ルーはマーシャルに恋してしまう。マーシャルの為ならなんでもやる?
母は反捕鯨活動家、マーシャルは署名を集めないといけない。
そして、また、事件が起こる・・・
本文より。
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・・・・鏡を見てるようだった。ルーのうちにあるのと同じ望みが、愛されたいと言う狂おしい欲求が、すぐ目の前に、マーシャルの母親の中にあった。それはグンダーソン校長にも、古いアパートの写真でリリーの腰をつかんでいる彼のなかにもあった。足を固定具に乗せて子どもの泣き声を聞いているアグネスの中にも。バスルームで紙切れに囲まれて喪に服している父親のなかにも。みんなの心が同じ狂気をー発見を、至福を、喪失を、絶望をー繰り返し、太陽の周りの起動を代わるがわるめぐっているようだった。みんなが自分にしかない引力を持っている。それぞれ独自の引力を。自分の大気圏に入ってきたものすべてを引き寄せ、さっと捉える。
みんなが愛を見つけて愛を失い、愛から立ち直ってまた愛してることを思うと胸が温かくなった。・・・・
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とても哀しい物語。
とても面白い。
ショーン・バイセル、「ブックセラーズ・ダイアリー」 スコットランド最大の古書店の一年。
淡々とした暮らしが立ち上がる。
まるで日記を読むような。まさにその通りで、1年間の日記そのものである。
それがまたとても面白い。
エッセイ的というよりは、その地に暮らす人たち、書店に出入りする人たち、
関わる人たちの人間模様が生き生きと立ち上がってくる。
本文より。
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12年後、クリスマスで親元に帰省しているあいだに、レオ・ウォムズリーの
「スリー・フォーヴァーズ」を探して本屋に入ってみたほくは、店主と雑談するうちに、
面白いと思える仕事が見つからないのだとうっかり口をすべらせてしまった。
すると店主は実は引退したくてたまらないのだだ、この店を買い取ってくれないかねと
言ったのだ。そんな金はないと言うと彼は答えた。
「金なんかいらんさ。銀行は何のためにあると思う?」
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本屋が手に入ってしまった。
場所は、スコットランド南西部にあるウィグタウンというところ。
人口千人足らずの町だ。
自然がとても美しい地方ではあるが、これといった産業もない。
しかし、スコットランド政府によるブックタウン構想というのができて、このあたりは
一気に盛り上がった。
年に一度のブックフェスティバルもある。
独自の経営哲学とアイデアでネットショップでないと生き残れないと思われた
ブックショップを盛り上げて頑張っている。
その暮らしぶりがとても興味深い。
店員とのかけあい。
客との触れ合いや、馴染み合い、それにトラブル。
いろいろあって楽しい。
ネットを活用したビジネスも考えないといけない。
ネットショップとのやり合いもある。
いろいろあって楽しい。
日本では本屋さんてどんどん無くなっていってるけど、いろんな道があるのかもしれんと
思ったりする。
行政や地域と一体になれば違った世界が生まれるのかもしれん。
日本でもどこでも、なんとかして、本屋さんが活躍できる世界が生まれたらいいなあって思う。
こんな本、好きやなあ。
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ありがとうございました。