ロベルト・ボラーニョ、「野生の探偵たち 上、下」
これまた読み難い本やなあ。前に「2666」を読んだ時もそう感じたけど今回
も同じ。内容が難解というよりはとにかく長い。しかもちょっと油断したら何が
どうなってんのかさっぱりわからんようになる。あれが起こって、こっちへ発展
して、あっちにまた行って、どの話がどれとどうつながってるかかなり先になら
んとわからへんタネも仕掛けもいっぱいの物語なのだ。
わけわからへんけど変に面白い。
メキシコのDFと言う街(メキシコシティのことらしい)にガルシア・マデーロと
言う詩人あるいは詩人になりたいと思っている若者がいた。
ある日、はらわたリアリズムという詩人のグループを標榜するアルトゥーロ・ベラーノ
とウリセス・リマという二人の詩人と知り合った。
はらわたリアリズムっていったい何なんや? いかれた前衛詩人たちのあつまりな
んか? いかれた詩人たちってどんな暮らしをしてるんや?
わけわからんはなしがどんどん広がる。
男も女もはちゃめちゃなようで何かを求めている。
どうやら二人は伝説の詩人、セサレア・ティナヘーロを探しているらしい。
そしてとうとう、やくざの紐から逃げんとあかんようになった女とガルシア・マデーロ
の4人でセサレア・ティナヘーロを探す旅にでることになった。
シボレー、インパラに乗っていくのだ。これぞアメリカンと言う車やんか。今でも
車高を落とした改造車をよくみかける。
何となく普通の話になったきたなと思えるころ第1章が終わる。
第2章からは又話が分散に分散を重ねる。
アルトゥーロ・ベラーノとウリセス・リマに関係したような、ある時すれ違っただけ
のような、時には恋したり、同棲したりしたようないろんな人の証言が始まる。
脈絡があるようで脈絡がない。何かを暗示するようで何も起こらない。しかもそれぞれ
の話が長いのもあれば短いのもある。面白いのもあれば退屈なだけの話もある。
何かわからんけど延々と続く。
舞台はメキシコだけではない。
スペインからフランスへあるいはアフリカへ、変転極まりない。
明示的に何か目的を持っていくというよりは、インタビューを続けてることが
足跡をたどることになり、それが世界を巡っているのだ。
麻薬とヒッピーと退廃の暮らしであったり、若くて反抗的な詩人の話であったり
する。
しかも、それを読んでるうちになんとなくおぼろげながら見えてくるものもある。
実に不思議な世界だ。
そして限りなく発散してしまったような世界が、第3章で終結していく。
アルトゥーロ・ベラーノとウリセス・リマの放浪はどうなるのか?
伝説のセサレア・ティナヘーロ詩人は見つかったのか?
紐から逃げる女はどうなったのか?
メキシコの詩人達の世界って?
いやいや実におもしろい。
難しくて面倒で、ええかげんにしてくれって言うほど長いけど。
楽しい本であった。
上下2巻。長い。
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ありがとうございました。