磯田道史、「武士の家計簿」
前にこの人の本、「無私の日本人」を読んで非常に感動したので、あんまり評
判が高いんで避けていたこの本も読みたい気になった。
この本も非常によかった。
わしらからすると訳のわからん古文書をすらすら読んで、そんな断片の端っこ
からこう言う風に武士の暮らしの内実をまるで見てきたかのように立ち上げて
見せてくれるというのはすごいもんだ。
やっぱりすぐれた知識と知恵と勘と想像力が必要なんやと思う。
たまたま、幕末頃のある藩のある武士の家計簿というか金銭出納簿みたいなも
のが見つかった。しかもその武士は数学の専門家の家系であり、藩の経理の役
人であった。それには日々の金銭の出入りが克明に記録されていた。その出入
りを追っていくと、その武士の暮らしぶりだけではなくて、藩の状況、武士の
意外に困窮した生活などなど、生々しい時代小説を紐解いているような展開に
なっていくのだ。
封建時代の士農工商の差別構造の中で、一番上のはずの武士の暮らしが決して
下部の人たちのうらやむべき状況ではなかったと言うのが非常に新鮮な驚きだ
った。
明治維新が、他の国の革命とはちょっと違った側面をみせているように思える
のもこういう背景があったからなんやろうと思った。
岡崎大五、「おじさんバンコク大脱走」
元さすらいのバックパッカーであり、バックパッカーくずれの旅行会社添乗員
であったらしい作者の爆笑旅行物語である。
リストラされそうな友人を無理やり誘って、二人合計10万円でバンコクおじ
さん旅をすると言う話。
バックパッカーでバンコクに居ついたまま、日本に帰らず、現地でややこしい
仕事をしながらずるずると居座ってた経歴の持ち主と言うだけあって、バンコ
クの裏の裏まで実に詳しい。それも安くて満足度の高い、ホテルやら食べ物や
ら買い物までいろいろ微に入り細に渡るまで説明してくれる。バスや地下鉄、
舟など公共交通機関の利用の仕方の知恵まである。
この本が書かれた頃からいろいろ変わってしまった部分もあるけど、参考にな
るところが沢山あって楽しい。
こんなん読んでたら又行きたくなるやんか。
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ありがとうございました。