「体感ヤマガタ」という本

  • 2009年10月1日
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山形映画祭の話を書いた「体感ヤマガタ」という本を読んだ
「山形国際ドキュメンタリー映画祭」というのが2年に一回、山形で
開催されているというのは前から聞いていた。
興味深々ではあったが、行く機会がなかった。何しろ100以上の国と
地域から集まったドキュメンタリー映画が1週間、いくつかの映画館で
ぶっつづけに上演されるのを、次々に体力の続く限り見ていくのだそうだ。
映画好きにはたまらない催しだろう。
この「体感ヤマガタ」の作者、川島信治さんは、1993年の第3回から2007年の第10回まで、
一度も欠けることなく参加してしてきた人だ。
この間20年にも渡って克明にメモをつけて来られた。
それを整理してこの本を出版したというわけだ。
実に夥しい蓄積がここにある。その一つ一つを通して、其の時代、時代が浮かび上が
ってくるかのようだ。
結局は今に至った世の中のことどもが正しい道を歩んだ結果なのかどうかなどわかりは
しないけど、その時々に、知らなければいけない事を知らしめよう、見なければ
いけないことを見つめさせようとしていた人達が間違いなくいたことがよくわかる。
私はドキュメンタリーはおろか映画そのものについても何の知識も蘊蓄もないので
それぞれの監督や製作者と作品を重ねあわせてみることはできないけれど、
ここに記されているタイトルや映画の感想を見ているだけで、その時代の自分と
重ね合わせて、
「よくわからなかったがあの時のあの状況はこういう背景があったのか」
「あの地ではこういう事が起きていたのか」
「あの出来事はこういうふうにとらえる人たちがいたのか」
いろいろな思いが私の中を駆け巡るかのようだ。
こういう貴重な集積が本という形になってよかったと思う。
作者に敬意を表したい。

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今年の山形にも当然行かれるんだろうなあ。

「体感ヤマガタ 世界を観つづけて20年」
著者 川島 信治
発行所 三帆社
神戸・元町 海文堂書店などで販売

毎週木曜は、映画、音楽、書画に関する話です。