最近読んだ本、「リスボンへの夜行特急」、「ああ荒野」

  • 2012年11月2日
  • 3人
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パスカル・メルシェ、「リスボンへの夜行特急」
これは面白い本だ。ミステリーでもアクションでもノンフィクションでもないが
面白い。
あるごく普通の日、ごく普通の教師が勤めにでかけようとしたら雨の中、不思議
な女が居た。学校まで着いて来る。教室まで入ってきた。一体何や? それで男
の何かにスイッチが入った。授業が終わった男は何もかも放り出して街へ出て行
く。(こんな話、ポール・オイスターの本にもあったなあ)女はそれから2度と
登場しない。
そして街に出た男はある古本屋に入る。そして一冊の本を手に入れる。
「言葉の金細工師」という本だ。男はこの本の内容に衝撃を受けて、この本を書
いたアマデウ・デ・プラドと言う男に会って見たいと思う。
そしてベルンの街からリスボン行きの特急に乗ってしまったのだ。
哲学者の書く小説は実に論理的で企みに満ちていてそして難解だ。しかしリズミ
カルな文章は魅力的でぐんぐん惹きつけられて先を読みたくなる。
アマデウ・デ・プラドはもう死んでいた。男はポルトガルの内戦の日々を生きた
彼と彼を取り巻く人たちの物語の中に少しずつ踏み込んで行く。
アマデウの誇り、悩み、苦しみ、共に生きた人たちも深い心の傷を負ってしまっ
ている。
ホメロスの「オデッセイ」にたった一回だけ出てくる単語とは何なのだ?
グレゴリウスは帰りの特急に乗るのか?
わくわくする物語だ。

寺山修司、「ああ荒野」
えらい古臭い本を読んだのだろうか?
でも今読むと新鮮な感じがするのは何故なんやろう?
新宿新次、バリカン建二と言う二人のボクサーの卵、明日のジョーのヒーロー
抜きみたいなやつらが裏町でうごめいている。
話はジャズのジャムセッションのようだ。
テンポがいい。あっちの話とこっちの話が別々に自由に流れていくかと思った
ら時には絡み合ってぶつかり合う。
俳句の天才、寺山修司は俳句に切り取るような視線でモノを見ているような気
がする。
写真もいい。わしらの少年時代、戦後の昭和の東京の裏町なんやろう。
これに音が付いたら映画になって、匂いも付いたら人生になる。
そんな写真のような気がする。

新宿新次とバリカン建二はリングで戦うことになるのか?
芳子と新次はどうなっていく?
決して古臭くはないと思った。

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