四天王寺で、骨董市を見ていたら、だんだん暗くなってきた。
「天気が悪なったね」、「ちゃうで今日は日蝕なんや」、「あ、そうか、それでか」
と声が聞こえてる。
そうしているうちに、周りがざわつき始めた。
「あっ、見えるで」、「あれか」、「わっ、欠けてるわ」
学校の窓からも生徒が一斉に覗いている。
寺の鐘が鳴っている。
「こういうのもいい感じやなあ」と思った。
1999年、8月11日、たまたまフランス旅行に行っていて、その日がシャルル・ドゴール
空港から帰国の日だった。街から空港への道路がえらい渋滞している。
「何で?」、「今日は日蝕やから、皆ノルマンディの方へ見に行くんや」
「間に合うんかいな」と心配だったが、大丈夫。チェックインカウンターで何かくれた。
遮光眼鏡だ。「なかなか粋やね」、「でも、ちょうど出発時間に日蝕開始やで」
「見られへんやろね」とロビーで待っていると。
どうやら、日蝕が終わるまで出発を遅らせるそうだ。
「やっぱりやる事が粋やね」
出発ロビーの大きなガラスウインドー、みるみる暗くなってきた。
見事な金環蝕だ。
静かだ。皆息をのんでみている。
大阪では晴れ間はなくて、雲の間からちょっとだけ見れただけだったけど、
次は何時どこで見れるだろう。