タラの芽ってこんなとこに?

先日用があって、和歌山の山の中に入った。
案内の人について、道があるかないかわからない山林のなかを藪をかきわけて歩いたのだ。
それで用が一通りすんだあとで、案内の人が、藪の中を見ているかと思うと、
「タラの芽がある」といってとってくれた。
「えっ、タラの芽ってそんな上にあるの?」
恥ずかしながらタラの芽って、蕗の薹みたいに地上に生えているもんだと思っていた。
「天麩羅にするとおいしいよ」って手渡してくれた。
新鮮な香りがする。
「ええなあ。食べたい」というと、そのへんを探して一つかみほどとってくれた。
「蕨もおいしいんやで」といいながら、帰り道の山道を探しながら歩いている。
私にはどう眼を凝らしてみても、野草の中からそれを見つけ出せない。
「慣れんとわからへんわな」といいながらそこここで見つけていく。
ぜんまいのようなものをみつけたので、「これはどうです?」と聞くと、
「それは、茹でたあと干してから料理するんで手間やで」と教えてくれる。
それで結局、タラの芽と蕨を頂いて帰った。
早速、翌日に山菜の料理が出た。
タラの芽の天麩羅は実に美味しい。歯触りもいいし、香りもいい。苦みなどは全くない。
春の味だ。
他は、筍、椎茸、さつまいも、などの天麩羅。
ご飯は蕨の炊き込みご飯。
これも実にうまい。灰汁を抜く必要などなかったそうだ。良い香り。
昔の人は戦時中の食べ物のない時に米に混ぜて散々食べさせられたから、見るのも厭という
人がいるが、今の人間には大の御馳走だ。
おかげで春の香りを満喫できた。

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それにしても「タラの木」というのがあって、春になると其の木の先に芽がでて、
「タラの芽」というのだという事を初めて知った。はずかしい話でした。
毎週水曜は食べ物に関する話です。