もう今では梅が満開になっているやろか。行った時はまだまだだった。
このままやと桜に追いつかれ、追い越されるやんかと思った。その時の話。
水墨画の老師が季節になると、梅林の画のお手本を描いてくれる時がある。
なかなかいい雰囲気なので、「これはどこですか?」と聞くと、「月が瀬やで」と
言う。「わしは月が瀬が気に入って、何ヶ月か滞在したことがあるんや」とまで
言うのだ。
「そんなんやったら行って見たい」とずっと思っていた。
ちょうどいいタイミングでそれを思い出したのだった。
カーナビが頼りだ。名阪を予想より早く降りろと言う。まあしゃあない。
言う通りにしよう。降りたらすぐ左に曲がれと言う。しかし変則交差点だ
「あっこやったんかなあ?」と思いつつ走る。ナビは文句言わへんから合うてんのやろ。
でもやっぱり間違うてたみたい。かなりおおきく回り込んで、最後はえらい細い道に
入り込んだ。ちょっと心配やけど、ナビは自信ありげだ。
一山越えて入り口に着いた。
「やっぱりあんまり咲いてないなあ」今年は遅いのだろう。
そのまま、観光案内の事務所迄行く。
地図を貰いながら説明を聞くと、観光案内書の向かい側の山に登れば梅林があるのだ
そうだ。車だとぐるっと右から回り込んでいくと上に駐車場があると言う。
ちょっとお金を節約して、料金の要らないかなり手前のところから歩く事にした。
「やっぱりあんまり咲いてない」
道すがらどっちもむいても、3、4分咲きといったところだ。しかしほんのり
良い香りはする。それにさっきまでひどかった花粉症のくしゃみがなくなった。
目も痒くない。花粉がなくなっただけでもえらい快適だ。
丘の上から梅林が始まるが、見所に行っても寂しいものだ。
茶店のおばちゃんも、売店のおっちゃんも「今年はあかんわ」と嘆いている。
遥か下には月が瀬ダムの人造湖に続く川があって、これで満開やったらえらい綺麗
やろなあと思う。
そういう気分で画を描いて見よう。
しかし、「老師の画みたいな景色はないでえ」
やはり画は心眼に映るものなのだ。目の前にあるものをちょいちょいと写生した
くらいでは、本当の画は描けないのだ。
心すべしなのである。
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ありがとうございました。