芥川賞が発表されて、受賞者のインタビューが何かと話題になった。
取りようによっては不遜とも非礼とも言われかねないような内容におもった。
こんなけっこうおもろい発言する人は最近珍しいかもしれんと俄然興味が湧いて読んで
見たくなった。
発表直後だから、文藝春秋に掲載されるはずだ。お金を節約してこれで読む事にしよう。
それに選評も一緒に読めるから今回は特に興味がある。
田中慎弥、「共喰い」
それで、これか。
正直私はがっかりした。私がえらそうに言ってもしょうがないがそんな気分だ。
文章はものすごく美味いと思う。読み始めたらぐいぐい引きつけられて、おどろおどろ
しい愛憎の世界がぎりぎりと立ちあがってくるようだ。
それでもどこか嫌な感じがする。
芥川賞って、どんなにぐちぐちどろどろの世界を描いていても、どこかに品性の高さを
かんじさせるところがるようなものだと思っていたり、期待していたりする。
そういう意味ではちょっと違うような感じを受けた。
石原慎太郎の評に対する反論みたいなインタビューであったが、どちらかというと
好きではない石原氏の言葉の方が的を得ているような気がしないでもない。
私の読み方が浅はかなのだろう。
円城塔、「道化師の蝶」
狂言綺語がひらひらと飛び交うような文章だ。
部分部分はすごい、めくるめくような煌めきの面白さがあるが、全体を通して
よくわからない。
画で言えば抽象がのようでそうでもないし、具象画ではもちろんない。
やっぱりようわからん。
おもしろいけどようわからん。
銀の糸の網で着想を捕えるか? 幸運を捕えるか? 奇跡を捕えるか?
素人の本読みなりに一生懸命背伸びしてもついていきにくい話だった。
オルハン・パムク、「新しい人生」の世界に似ていなくもない。
この2つ、普通の小説としてみたら何の問題も無い。すごい本だと思う。
しかし、芥川賞かと思うと考えてしまう。
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ありがとうございました。