吉田修一、「さよなら渓谷」
母親が子供を殺したかもしれない。
レポーターが集まってきている。
何となく最近よくある話だ。隣の家にも聞き込みが入る。
そして、話は段々意外な方に。
隣に住む男と関係がある? 何故だ? 男には過去がある。
昔のおぞましい事件が浮かび上がってくる。学生時代のちょっとした過ちでは
すまされない犯罪だ。社会的な制裁が待っている。
そして被害者にも。何故だ? 何故被害者までが社会の制裁を受ける。
形を変えた魔女狩りだ。
考えてみれば誰もが知らずに魔女狩りに加担してしまっているかもしれない。
普通と思っている社会も十分病んで傷んでいる。
一杯いろんな事を考えさせられる本だ。
彼と彼女になんとか救いがあるようにと祈るような気持ちにさせられるような
物語りだ。
チャン・アイリーン、「ラスト・コーション」
これまた技巧と企みに満ちた文でつづられた華麗な内容だ。
映画にするために作られた本? 全くそんな感じだ。
色・戒
女と男の騙し合いすなわちスパイとスパイの騙し合い。
大戦の最中、共産勢力と傀儡政権の陰謀がうずまく上海、香港の街の中。
女はダイヤを買えと男を連れて行く。おびき出された男は殺されるのか?
女は男を憎みきれない。
危機一髪を逃れた男は女をどうする?
・・・・
愛ゆえに
仕事がみつからない女は友達の夫の兄の子供を教える家庭教師に。
いつか二人に愛が芽生える。
しかし男には妻がいる。
女の父が田舎から出てきて女にまとわりつく。
男にも女にも中国的な家族の足かせが重たい。
子供に懐かれる、いつか父親と恋仲に
そして事件が・・・
やっぱり張愛玲は面白い。どこかで原文を手に入れよう。
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ありがとうございました。