映画、「やがて来たる者へ」を見た

エンディングロールが終わって場内がざわつき始めても中々動く気がおきない。
声を無くした少女のちょっとかすれた静かな歌声がまだ耳に残っている。
何と言う美しい映画だったんだろう。

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此の映画の主役はここに流れる風景だと思った。

深い静かな森の中に農村の静かな暮らしがある。
罠にかけた狐や兎を食べる。豚を飼う、時につぶして食べる。
鶏を買う。
葡萄を育て葡萄酒を作る。
麦を育て、パンを作る。実に美味しそうだ。
村はずれの子安の地蔵ならぬ子安のマリアさまに安産を願う。
日曜日には教会に行く。
家の窓からは丘と森と田畑と山々が見える。時には霧に霞んで、時には陽光の下で。
のどかな日々のくらしだ。

そんな村に悲劇が訪れた。
丘に落下傘兵が舞い降り、森でパルチザンとナチスが撃ち合う。
戦争と言う行為の中で人が悪魔になる。眼をそらしてはいけない。
忘れてはいけない。なかったことにしてはいけない。

しかし、どんなに無残な事が起きて、打ちひしがれても、やっぱり明日は訪れて、
いつか希望に向かう日が訪れる。必ずそうしてみせるという強い意志のような
ものを最後のシーンをじっと見続けながら思った。

ドラマチックな悲劇を語るものでもないし、これでもかと残虐さを告発するものでもない。
淡々とした映像が流れる中に、深い悲しみと希望が描かれているように私には思えた。
静かに感動する映画であった。

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是非劇場でご覧下さい。

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ありがとうございました。