最近読んだ本、「空白の五マイル」

  • 2011年8月10日
  • 2人
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角幡唯介、「空白の五マイル」ーチベット、世界最大のツアンポー渓谷に挑む
ノンフィクション冒険物語だ。
チベットの山奥深く、ツアンポーといわれる大渓谷がある。
グランドキャニオンより規模は大きいというのだ。
そういう秘境に昔、キング・ウォードンという英国人の探検家が入った。
悪戦苦闘の上、探検を成功させたものの数マイルの未踏地帯が残った。
その時に、その未踏に地に幻の大瀧があるという話が残ったのだ。
その後、南隊かがその空白を埋めるべく挑んだが、幻の瀧は発見されず、
僅か五マイルの未踏の地が残った。
結局瀧は存在しないのだろうという説が濃厚になってきた。
日本隊も入った。その時はカヌーで渓谷を下ろうとして、遭難死した人もでたのだ。
しかし、その僅かの間であっても落差から考えると瀧があってもおかしくないはずだと
未踏の空白に挑む隊は絶えなかった。
とうとう、アメリカ隊が成功し、中国隊も成功した。
瀧はあったのだろうか。
こういう地に魅入られてしまった作者は単独行で2度も挑んだのだ。
すさまじい精神力と体力での冒険行はまさに血湧き肉踊るスリリングな話でもあるし
体力の限界での行動ははらはらどきどきの話でもある。
文章の力というより、事実の力が猛烈で、読む者を圧倒するのだ。
何が彼をここまで駆り立てたのだろう。
冒険という禁断の味を口にしてしまったからだろうか?
この地の魔力にとりつかれたのか?

ただ思うのは、こんな僻地でも既に携帯電話が普及してしまっていて、そんな中での
中国の支配のありようだ。
確かに敦煌の砂漠の中でも携帯は通じたし、雲南のシャングリラの山の中でも問題
なかった。でもまさかチベットの山の中で通じるとは知らなかった。
それで、相互監視なのだ。
許可のない旅行者に協力すると、ちくられたら生きていけない環境があるのだ。
いろいろ理解しがたい思惑やルールで規制している場合もある中国の規制なんか
無視しようとする冒険者はそれはそれで勝手だが、人のいい地元の人に余計な迷惑
を背負わせるのは大きな問題だし、相互監視で支配するのもそうだとすれば嫌な感じだ。

hon110810

便利な道具がかえって世の中を複雑にしてしまっている。
いろいろ考えさせられるのだ。

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ありがとうございました。