最近読んだ本、「アフリカの日々」、「やし酒飲み」

  • 2011年7月12日
  • 2人
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ディネセン、「アフリカの日々」
この本は始め、「やし酒飲み」に興味をだいて読み始めたのだった。
こっちの方は、ごく普通の滞在記的なものかなあと漠然と思っていた。長いから適当に
読んだらいいやとも思っていた。
しかし、すばらしく瑞々しい感性に溢れた本だった。
登場人物がすばらしい、その場所も。もちろん描写がすばらしいからだ。
ケニヤの高原地帯にあるンゴング農園、それだけで心おどるではないか。
そこでコーヒ農園を経営しているのだ。決して楽ではない。
カマンテという天才料理人がいた。
字が読めないし英語もわからない。全ての料理法を空で覚えていた。
・・・一流とか二流とかの格付けを超えていた。・・天性の一大飛躍があるのだ・・
・・・料理の順番を覚えられない・・・・記憶が悪いせいでは断じてない・・
順番などに煩わされるのがいやだったのだろう。
ルルと言う名のアンテロープがいた。
・・・脚はあまりにも優雅に細いので・・・耳は絹のようで、この上ない表現力があった。
鼻はトリュフのように黒い。普通より小さなひづめは纏足をした古風な中国の貴婦人の
風情をそなえている。これほどまでに見事な生き物を手に入れるのは、めったにないことだ・・
猟銃の事故、死者は牛の数で購われる。
キクユ族の暮らし、マサイの戦士の誇り、ソマリ族の純潔。
空飛ぶデニス。
文明のありなしやお金のありなしとかかわりのない高貴な精神と誇り高い人達がいた。
そして破綻。
著者のアフリカの日々に対する溢れるばかりの想いと愛がここにあった。
実に美しい物語りだ。

チェッツオーラ、「やし酒飲み」
これは又、実にファンタスチックな物語りだ。
やし酒好きな男がいた。
やし酒を飲む以外は何もできない。来る日も来る日もやし酒を飲んで暮らしている。
ところがある日、やし酒造りの男がやしの木から落ちて死んだ。
困った男は死んだやし酒造りを探し当ててもどってきてもらおうと旅にでるのだ。
そして死者を探す旅に出る。
完璧に美しい男がいた。男は家に帰る。魅了された娘はその後をつける。
帰る途中、男は美しい部品をつぎつぎと返していく、手、脚、胴・・・最後は
骸骨だけが残った。骸骨の村。
白い木の誠実な母のところに行く前に、「私達の恐怖を貸与」し、「死ぬこと」を
売り渡したので、恐怖を感じることもないし、死ぬ事もないのだ。
男は時には、ジュジュを使って危機を切り抜ける。
しかし、どこを訪ねてもやし酒つくりは見つからない。
とうとう、「死者の国」にいることがわかった。
果たして男はやし酒造りにめぐりあえるのか。
そしてやし酒をこころゆくまで飲めるのか。
魔者も精霊も死者も聖者もうじゃうじゃとアフリカの森の中に暮らしているのだ。
それはそれはファンタスチックな世界なのだ。

hon110712

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