大阪に戻って、行きたいレストランがあったというのは、「レストラン・アラスカ」の
事だった。
何で行きたいかというと、朝日新聞ビルのアラスカというと昔から超有名なのだ。
いろんな有名作家の本の中に出て来る。
譬えば、谷崎潤一郎の「細雪」の中にも出てきて、こんな感じだ。
・・・・・・もうその時分、街でタキシーを拾ふのはむづかしくなって来ていたので、
橋寺は電話で何処かのガレーヂからパッカードを呼んだ。そして中之島の朝日ビルの角まで
来ると、如何です、阪急までお送りしても宜しいですが、お差支へなかったらちょっとお寄りに
なりませんか、と云ふのであった。ちやうど時分時なので、アラスカへ誘ふ気なのだと察した
貞之助は、今日も亦饗応にあづかることは重ね重ねで心苦しいけれども、此の機会に娘と親しんで
見たくもあり、かう云う風にしてだんだん交情が深まるのは願ってもないことでもあるので、
ままよと、招きに応じてしまった。で、それから又一時間ばかり、洋食のテーブルを囲みながら
漫談を交わした訳であったが、・・・・
谷崎潤一郎、「細雪」、中央公論社、谷崎潤一郎全集第十五巻より、
4人姉妹の下から2番目、雪子ちゃんの縁談をまとめようとあせっている義兄の貞之介が、見合い相手の
橋寺を大阪市内に訪ねてその帰りの話だ。行くならちょっと名のあるアラスカという事だ。
他にも、確か、吉田健一のエッセイでアラスカのカレーライスが美味いというのを読んだ記憶がある。
が、思い違いかもしれない。
開高健だったかな?
ただ、有名ではあるが、料理は何が美味いと書いてなかったような気がしている。
フランス料理店なのにカレーライスがうまいと書いていたので記憶に残っているのだ。
それと、ベークドアラスカというデザートだ。アイスクリームをフランペして炎をあげながら
持ってくるやつだったと思う。
そんなことであって、とにかく13階まで上った。実はかなり前にも来たことがあって、折角
13階まであがったのに土曜日で店が休みだったのだ。
更に昔といえるほど前に来た時は普通のランチセットを食べて、家人はベークドアラスカを
食べたが、カレーライスは食べてなかったのだ。
今日は大丈夫。
さすがに良い雰囲気だ。大阪のビジネス街が一望できる。
ビジネスで成功したかったらここで飯を食えと言う言葉もあったらしいが、今はどうやろ。
さて、何を食うかだが、勿論、カレーライスだ。しかし、1皿2000円以上やからね。
カレーを選びたいから単品で注文できる奥の間に入った。
一緒に行った家人はカレー以外がいいという。
「○○は?」、「すみません切らしてまして・・・」
「△△は?」。「申し訳ありません、売り切れましえて・・・」
まだ、1時前やし、全然満員とちゃうのに・・・・
「私もカレーでええわ・・」
私は野菜カレー、家人はビーフカレーだ。
野菜カレーは野菜だけ別途茹でたあとカレーに混ぜ込んでいるから、野菜本来の味が楽しめる。
味が濃くて良い野菜だ。カレーも複雑な味でおいしい。
が、驚くほどではない。
今時カレーはインド人がやっている本格インド料理の店がいくらでもあって、そこそこ
の値段でいろんな味のいろんなカレーが食べられる。勿論タイやマレーシアのアジアンなカレーも
いっぱいある。そんな状況で、驚きの味をつくるのは難しいだろう。
そうは言うもののノスタルジーは十分満足できた。
昭和の初めの頃は贅沢な洋食だったのだ。
良く味わおう。
店名、「アラスカ」
ジャンル フランス料理
住所 大阪市北区中之島3-2-4 朝日新聞ビル 13F
電話 06-6222-1152
営業時間 11:30~14:30 17:00~21:30
定休日 土、日曜日
メニュー 日本語
言語 日本語
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