これは、もう何年も前にベネチアを訪れた時に買ったものです。すっかり忘れてしまっていたのですが、浅田次郎の「蒼穹の昴」を中で清朝期にベネチアから来た宣教師、朗世寧(カスチリアノ)の活躍を読んでふと思い出したものです。朗世寧は宣教師としてだけではなくて、絵画や建築、工芸などの芸術面でもすばらしい足跡を残した人のようですね。その作品は今はどこにあるんだろう。是非見てみたいものだと思っています。
彼が設計した北京の円名園は、すばらしいルネッサンスの文化を彷彿とさせるすばらしい庭園だったそうですが、清朝末期の列強のために散々に破壊され掠奪されてしまったそうです。
とりあえずは、台湾の故旧博物館にあるのであれば、見るチャンスはあるのかもしれません。その人の故郷ベネチアに残るガラス工芸の技術だという目でこのワイングラスを見てみると。なんだかなつかしい気持ちになります。
リーゼルとかいった高級ワイングラスは使い勝手が良さそうな上にすばらしく美しい形をしていて、まさに用の美といえるものですが、これは、鄙びた伝統のゆかしさを感じさせます。
ぽってりとしたベネチアンレッドの杯は、なんとなく昔の貴婦人を思わせるようです。