ホーチミン、フエの旅ー13

列車はフエに向かって無事出発
1号車は明らかに座席車だ。ベッドではない。それに前の方は座席と言っても、
リクライニングになっている。これはこれで楽でいいかもしれない。
しかし、20時間となると腰がもたないだろう。
ちょっと焦り始めた。もう一度チケットを良く見よう。老眼鏡を取り出して
チケットを良く見る。号車の印刷をしたところ、どうやら1の横に薄くもう一つ
1が見える。きっと11号車だ。
「遥か後ろやで」
気を取り直してまた戻る。途中でさっきの駅員がいたので又、チケットの
号車らしきところを何度か指さして確かめてみる。
こんどはうなずいて後ろの方を指さす。
やっと11号車についた。ベトナムもプラットフォームはないので、地べたから
デッキをよじのぼるのだ。
「????、えらい古い車両やなあ」、
「コンパートメントでソフトベッド」という言葉でなんとなくちょっとぐらいは
豪華な車両を想像していた。
「しかし?」コンパートメントといっても、鉄の扉で牢屋みたい。
「ベッドは?」確かに掃除はしてあって、不潔とは言えないが、
「綺麗」といえるものではない。虫も走ってる。
しかも暑い。
「えーっ、冷房ないんかいな?」と心配になったが、ソフトベッドのコンパートメント
でそんなはずはないだろう。エアコンの音がしている。
だんだん効いてくるのだろう。
「さて、ベッドはどこだ?」チケットを見ると13番を書いてある。
部屋の入り口を見ていると各部屋に4つずつ番号が書いてある。これがベッドの番号
なんだろう。
やっと辿り着いた。
私の部屋も全部埋まってしまった。上下2段ずつのコンパートメントだ。
私は外の景色も楽しみたいので下段をとっておいた。
ベッドに座っていると、どんどん客が乗ってくる。
「一人でゆっくり」とかすかに期待していたが、そんなはずはない。
たたんであったシーツを伸ばして敷いて、毛布も伸ばしておく。
スーツケースはベッドの下に押し込んだ。
何か放送があって、ざわついたなと思ったら列車がゴトンとゆれた。
12:20、定刻通りの出発だ。