ベンタン市場に岩塩を買いに
ボートを下りて、約束通りフルーツを食べながら民族音楽の演奏を聴く。
ベトナムの民族音楽は、無形世界遺産に申請中だそうだ。日本ともはるか飛鳥、天平の
時代にこういう音楽のルーツと交流があった証があると聞いたことがある。
行く先々に、ちょっとした庭園と東屋があって、風雅にも見える生活がある。
お金の面ではどうかはわからないが、メコンの豊穣がもたらす豊かさが確かにあるようだ。
庭園を出ると、バスが待っていた。船でどうまわったかよくわからないが、陸続きの
ところまで帰っていたのだ。
どんな旅でもそうだが、帰りのバスは静かだ。殆どの人が寝ている。
帰路も同じ、豊かな水田が広がっている。
ぼんやり見ていると、水田の中にお墓があるのが見えた。全く普通の田圃の間、間に
お墓があるのだ。家のとなりにお墓があることもある。
そう言えばさっき見たジャングルの中に、家があると、となりにお墓というのもあった
ようだ。
こんな風に日常生活の中に、お墓があって死んだ家族と一緒にくらしているのだ。
多分、日本も昔はそうだったろうと思う。
しかし、風俗としてはそれはそれでいいものだとおもうが、今の暮らしには馴染まなく
なっていくのだろう。
ホーチミンでも土葬禁止の法律ができたそうだ。
近代化がいいことかどうかは分からないが、どんどん変わって行かざるを得ないのだろう。
予定よりかなり早くホーチミンについた。
さて、これからどうしよう。
ホテルまでの帰り途にベンタン市場という市内でも一番大きい公設市場がある。
そこで、岩塩と胡椒を買って帰ろう。
知る人は少ないが、ベトナムには岩塩があって、美味しいのだ。
もちろん東南アジアはどこでも胡椒があって、それも美味しい。
随分昔に、「ベトナムの岩塩はすごくおいしいですよ」と教えてもらって、ベトナムの
人に一緒に行ってもらって買って帰った事がある。確かに美味しい。
しかし、それでは、自分で買えない。それで、ベトナム語で岩塩と胡椒をどう書くか、
メモに書いてもらって後生大事に持っていたのだ。
さあ、これを持って市場に行こう。