「なんば歩き」の話をしてきた。うまくできてるかどうかは分からないが毎日歩いている。
そうなると、一度山道を歩いて見たくなる。あの熊野古道で飛ぶように歩きたいと思ったのが発端
だから、山道を飛ぶようにとはいかなくてもある程度すいすい歩いてみたい。
「どこに行こう」とりあえず近場がいい。どこか奈良のあたりにいいとこ無いか考えて見た。
「そや、二上山に行こう」調べたら、半日くらいでいけそうだ。
かなり以前に、折口信夫と言う人の、「死者の書」という本を読んだことがある。
二上山に祀られている大津皇子と麓の当麻寺に残る伝承の「中将姫」の話を書いた話だ。黄泉の国と
精神世界の往来を描いたスピリチュアルな世界の話だ。非常に興味深く読んだのでいつかこの話に
まつわる二上山に行って見たいと思っていたのだ。こういう話をとおして、二上山に祀られる大津皇子は
「荒ぶる霊」だという印象を持っていた。そういう霊なら今の大災害の時に特別な力を貸してくれるかも
しれないと思ったのだ。そのお願いもしたい。
天王寺の「阿倍野橋」の駅から30分で「二上山駅」に着いた。登山者が何人かいる。
駅前に大きな地図はあるが、方向案内板のようなものはない。誰でも知ってる当たり前の登山道なのかも
しれない。私はしらないので駅員に聞いた。
「その道を線路を越えて行って、右に曲がったら真っ直ぐ行くと国道に出て、陸橋があって・・」あとは
簡単にわかると言う感じだ、まあ、山は見えてるからと簡単にスタートした。
「陸橋がわからん」、国道をどこかでわたらないと行けない。しかたないのでたまたまそこにいた人に聞いた。
「ここまで来てしまったんなら、ここを左に曲がってずっといくと神社があるんでそこを右にまがると
陸橋が見えますよ」という。「正規の道はどこやったんやろ?」気持ちはぎくしゃくしながらもなんとか登山口
に着いた。
「さあいこう」なんば歩きで快調に登り始めた。天気がいいから直ぐに汗ばんでくる。
林間を気持ちのいい土道が続く。小川が流れ、路の右になり左になりして、時々小さな橋を渡る。
だんだん路が険しくなってきた。石道が始まる。
熊野古道ほどではないが、結構歩きにくい。とても飛ぶようには歩けない。
「ヒーヒーハーハー」息遣いも大きくなる。「登る方が楽しい」というところまではいかない。
しかし、足腰への負担はこころなしか軽くなっているように感じる。上に登る感じは前よりは楽なのだ。
時々、視界が開ける。登る時は下ばっかり向いて歩いているが、こういう時は足を止めて一息つく。
奈良盆地が遠くにみえる。
時々登山者と出会って、気持ちよく「こんにちは」と挨拶しあうが、風のように通り過ぎるわけにはいかない。
最後の急坂をぜいぜいと登ると、大津皇子の墓があった。
入山料の200円を巡ってネットでいろいろ賛否が書かれていたが料金を徴収する人がいなかった。
皇子の墓を拝んでから雄岳の頂上に出ると、あとは下るだけだ。
下りも「なんば歩き」だ。が、下りではペースを作りにくい。ひょこひょこと下る。
時々、石段の端に流石防止用にゴム板を貼ってあるから石段と間違えて踏みぬかないようにしないと
こけてしまう。
急行登山だ。もう馬の背に着いた。眼の前に雌岳の登りがある。
つまり二上山というのは雄山と雌山を馬の背でつなぐ二瘤ラクダのような山なのだ。
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