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最近読んだ本、「遅い男」、「予想通りに不合理」

J・M・クッツェー、「遅い男」 これは面白い。とても良い。身につまされる。 アデレードの街で暮らすポール・レマンはある日、自転車に乗っていて事故に会った。 気がついたら病院の中、しかも大事な片足を切断しないといけないと医師が淡々という。 冗談ではない。 やめてくれ。 しかし、命がおしければ受け入れざるを得ない。 ポールはその現実を中々受け入れられない。 義足をつけたら前のように動けますよ。冗談じゃ […]

最近読んだ本、「鳥獣戯画」、「ケンブリッジ帰りの文士 吉田健一」

磯崎憲一郎、「鳥獣戯画」 題名を見て飛びついた。なになに、あの「鳥獣戯画」にまつわる秘話、裏話が小説に なってるんやろか? 新しい事実が浮かび上がってきたか? あらたな解釈が提示される のか? 期待に胸を膨らませながら読んでいった。 ??? ちょっとちゃう? かなりちゃう? 確かに高山寺が出てくる。神護寺も出てくる。 けど。 私は、28年の会社員生活を終えることにした。今日がその日だ。こんな日には […]

最近読んだ本、「数学する人生」、「書架探偵」

岡潔、森田真生編、「数学する人生」 はるか昔に「春宵十話」と言う岡潔のエッセイを読んで痛く感動したことがあって 随分前にも読み返したことがあってやっぱり痛く感動した記憶がある。 図書館でこの本を見つけたとき、まず表紙の写真に惹かれた。まぎれもなく、岡潔が 生まれ育ったと言う紀見峠、大阪と和歌山の県境にある山峡の村の風景だ。山深く木が 鬱蒼として、「山気日夕に佳し」の暮らしが見える。 こういう風土が […]

最近読んだ本、「騎士団長殺し1、2」、「日本史の内幕」

村上春樹、「騎士団長殺し」 第1部顕れるイデア編、第2部還ろうメタファー編 村上春樹の小説は実は意外と沢山読んでいる。有名すぎて、手に取るのが恥ずかしい というのはあるけど、想念の内にある世界と現実の世界が複雑に交錯して独特の 村上ワールドが繰り広げられる様相は時にはとても魅力的で読んでいてわくわくする ものなんで天邪鬼心が避けようと思っていても気がついたら読んでいることが多いのだ。 で、この本も […]

最近読んだ本、「麒麟の舌を持つ男」、「幻の黒船カレーを追え」

田中経一、「麒麟の舌を持つ男」 この本を読んだあと、なんとなくテレビを見流してたら、このタイトルのドラマを やってたようだ。なるほどそれほど人気があったと言うことか? 確かにおもしろかった。 時空を超えた二つの話が進んでいく。 佐々木充は最後の請負料理人だ。それって何? 死期を感じた人たちが、彼を雇って人生最後の想い出の料理を作らせるという事 なのだ。 その人の記憶を頼りにその料理、その想い出を再 […]