最近読んだ本、「新宿ナイチンゲール」、「孤狼の血」

  • 2019年1月4日
  • 2人

小原周子、「新宿ナイチンゲール」

衝撃の本であった。
ストーリー展開に魅せられてのめり込むとか、ハラハラドキドキとか、発信する
問題提起の凄さに圧倒されるとか、そういう種類の文学的な衝撃とは一味違って、
漫画喫茶で寝泊まりしながら、派遣の介護士として、契約先に泊まり込んで
介護するという、そういう暮らしが漫画喫茶でできるということが大きな衝撃で
あった。なんとなく想像はできてたし、微かながらも知識はないではなかったけど
それが暮らしの舞台として立ち上がると、昔話しに聞いたドヤ暮らしや世界を巡る
バックパッカーのドミトリー暮らしの世界なんかとは又、似て(似てない?)非なる
世界が繰り広げられる。大都会の見捨てられた場所。これ以上落ちたらどうなんの
やろ? 病気になったら? 強烈な暮らしだ。
桑原ひまりはネットカフェで暮らしている派遣の介護士だ。殆どの時間を依頼人の
家に住み込みで暮らす日々ではきちんとした住処は必要ないのかもしれない。
そしてミュージシャンの宗一とダラダラとした関係を続けている。時には、
派遣先の家に連れ込んだりもするダラけたくらしだ。宗一は実力もないのにいつか
プロになれると勝手に信じて放埒な暮らしをつづけているが、案の定、騙されて
危ない筋から借金の取り立てに、それがひまりの元にもやってくる。
さて、彼女の運命はどうなるか?
彼女の家族にまで類は及ぶのか?
要介護を抱えた家族の悲喜交々、派遣介護の実態、悪いやつもいれば、嫌なヤツも多い。
本当に庇護されるべきは誰なのか?
物語は普通のような気がするけど、出てくる舞台がとても興味深い。
新たな新宿無宿ものがたり。

柚月裕子、「孤狼の血」

「凶犬の眼」を先に読んでしまって、連作モノの前作があるやんかと慌てて図書館に
申し込んだらえらい順番待ちになってしまってやっと読めた。
それにしてもすごい人気本をバリバリ書いてはるえらい馬力の人なんやなあって驚いて
しまった。
読み始めて改めて思う。さすが人気になるはず、やっぱり面白い。
けどやっぱりカッコいいけど暴力礼賛には寄らないで欲しい。
広島、呉原東署の捜査二課に新人の日岡が配属された。暴力団の抗争の担当らしい。
相棒は大上班長。この上司、仕事はできるがかなり危ないやつらしい。ヤクザを相手の
警察官なのか、どっちがヤクザかわからんほどの迫力であり、もしかしたら裏で何かあるん
かもしれんようでもある。
しかし正義感だけはあるようだ。
そして、ある日、金融会社の社員が失踪した。どう考えてもヤクザの抗争に巻き込まれて
殺されたんとちゃうやろかと思わせる?
果たしてそうなのか?
それなら死体の行方は? 犯人は? 動機は?
誰が得する? 誰が怪しい?
捜査が進むにつれて次々と意外な事が明るみにでてくる。しかし、すぐに行き詰まる。
どうすれが突破できる? 敵の懐に入る秘策はあるのか?
仁義を持つもの対持たないものとの仁義なき戦いが始まるのか?
そしていよいよえらいことが起きる?
とても面白い。
ほんまは先に読んだ続編の方が面白かった。

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ありがとうございました。