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最近夢中で読んだ本、カズオ・イシグロ、土屋賢二

カズオ・イシグロ、「浮世の画家」 日本人が英語で書いた本で、翻訳されたものだというのが信じられません。 翻訳がうまいとかいう話ではなくて、描写の力が言葉の違いを超えているのだと思います。 他の作品でイギリスを舞台にしたものも、どこにもあるようで実はいかにも イギリスらしい風景画浮かんできました。 上海を描いた作品もそうでした。上海のどこかであってどこでもなさそうな それでも確かに上海らしい街が心に […]

最近夢中で読んだ本、保坂和志、莫邦富

保坂和志、「この人の閾」 この人の本、凄いです。 相変わらず、普通の人の普通の生活。 劇的な事は何も起こらず、普通の人が登場して、猫がでてきて、 時間が自然に流れて行きます。 そういう事を人も景色も時間の流れも見事の書ききっています。 何も特別な事がないはずなのに、読んでいて飽きないのです。 読み終わると何だかいい気持です。 莫邦富、「中国全省を読む地図」 あの広大な中国の総ての省が網羅されていま […]

最近夢中で読んだ本、保坂和志、沢木耕太郎

保坂和志、「羽生」 久しぶりにしっかりと読み応えのある本を読んだ。 フルバディッドの佳酒を飲んだ気分だ。 将棋の天才「羽生」の思考の流れを克明に追っている。 今迄漠然と感じてきた、「勝負の世界」とはまるで違ったものだ。 将棋とは指し手が作っていくものでありながら、そうではない。 現実は始まってしまったら勝負の流れが手を作っていく。 お互いにその状況での最善手を探る行いこそが勝負の形をつくっていく […]

漢字に遊んだ巨人、白川静

中国を旅していると、漢字の国だなあとつくづく思うことがよくある。 どんな場所にいっても感じを基調にしたデザインがある。 風景の観光地なら石や岩壁に朱で名前や由来などが刻まれている。 看板もやたら多い。 どんな外来語も漢字にされてしまっている。 カルフールやマグドも漢字だ。 しかし、驚いたのは、そもそも、漢字が生まれた元になる甲骨文字がどういう意味を持って生まれてきたのか、それがどういうふんに篆書 […]

最近夢中で読んだ本、星野博美、有馬頼底

星野博美、「謝々チャイニーズ」 前にこの作者の「「転がる香港に苔は生えない」を読んで、このブログに書いたことがある。 同じ作者のデビュー作だそうだ。 これも面白い。 改革開放直後、旅行者は入れる事は入れるが、大変混乱していた時期だと思う。 こういう時代に単身で、案内もなく旅にいくという根性がすばらしい。 その迫力があふれ出している。 行った先々での、土地の普通の人達との心の触れあい、 忘れられない […]