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「マンチュリアン・リポート」、「楚漢名臣列伝」

浅田次郎、「マンチュリアン・リポート」 いやあこの本、実にがっかりした。多分、「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」、「中原の虹」と続いた 清朝の崩壊期を描く大スペクタクルの延長線状にある物語りだろうと思っていた。 だから、同じ様に、血湧き肉踊るわくわくどきどきの物語りだと期待していた。 確かに、延長線上にある。 清朝最後の独裁者、西太后が使うために、特別誂えの列車が英国から輸入されたのだ。 この列車が主人公 […]

最近読んだ本、「オラクルナイト」、「アジア河紀行」

ポール・オースター、「オラクル・ナイト」 ポール・オースターは大好きな作家の一人だ。 何となく泉鏡花を読んでいるような感覚で読んでしまう。 大都会そのものの中に潜む魔性の物語りなのか、現代人の成功して何不自由ない人であっても 心の闇からは逃れられないのか。 『ある日、或る時、「煙草を買いにいくわ」とふらりと家をでて、そのままいなくなる』 なんていかにもありそうではないか。 ある日ある時、街角を歩い […]

最近読んだ本、「ショパン 炎のバラード」、「雲南北ラオスの旅」

「ショパン 炎のバラード」、ロベルト・コトロネーオ ショパンのバラード第4番ヘ短調作品52、10分程の曲だ。ごく小品と言えるこの曲から よくもこんな手に汗を握り、興奮で頭がしびれるような物語りを発想できたものだ。 実に周到に準備され、企みに満ちた世界が待っている。 なるほど楽譜というものは、コンピュータのプログラミングコードとは全くちがうものだった。 ただ、指示通り弾いていれば音楽になるというもの […]

最近夢中で読んだ本の話、オルハン・パムク、磯淵猛

オルハン・パムク、「新しい人生」 なかなか難解な本だ。 どんなに面倒な本でも根気よく読んでいればいつかその中に入っていけるのだが この本はなかなか入れない。 年をとって感性が鈍ったのだろう、あまりにも象徴的な話で違和感ばかりが先に たってしまうのだ。 前に読んだ、「イスタンブール」はよかった。生まれ故郷のイスタンブールという 街を淡々と克明に記述しているのだ。どうしてこんなに膨大に書く事があるのだ […]

文徴明の画集

文徴明というのは、明時代の蘇州の文人画家で、その書、画ともに 今でも高く評価され誰でも知っている有名な人だ。日本で言えば 蕪村や呉春、池大雅みたいな人に当たるのかもしれない。 その先達は、沈周という人だと言う。こういう人達の画は、緻密、静謐で 画の中に静けさと気品が漂っている。 ただし、日本で探しても、図書館や古本屋ならともかく、書店ではまず 見当たらない。古本屋で見つけても非常に高価だと思う。 […]