篆刻の道具 水墨画とほぼ同時期に篆刻も習い初めていた。 画の方もなかなか上手にならないが、篆刻は更に酷いものだ。 篆刻というのは、味のある字を裏向きに書けて、その字を 味好く彫れて初めて出来上がるのだが、裏字はおろか、表字も ちゃんと書けないのがなさけない。 老師は普通の漢字を見ただけで、篆字を思い浮かべて、しかも そのまま、裏字で書いてしまう。恐るべしだ。 よく篆刻の本にあるように、紙に書いて、裏返して、そ […] 続きを読む
中国の墨、日本の墨 恥ずかしながら墨の事がほんの少しだけ分かってきた。 といっても画を描く場合の話だけど。 墨には基本的には松煙墨と油煙墨の2種類があって、松煙墨は青色系で 油煙墨は茶色系だ。 水墨画では茶系を使う事が多いので最近は茶色の出方に関心がある。 しかし、以前から中国に行った時、わけも分からず、値段だけで、勝手に 「いいものだろう」と決めて買って帰っていたが、結果的に好いものに あたらなかった。 それで、日 […] 続きを読む
栗を画に描く 田舎で栗を買ってきた。 珍しいので画に描いてみようと思い、ついでに栗に関して面白い詩がないか 調べてみた。 すると芭蕉に、「夜、窃に虫は月下の栗を穿つ」という句があった。 凄い句だと思う。 これは、何の虫だ。どんな風に栗を食うのだ。 と考えてしまいます。 それで、そのイメージを画にできないか考えた。 いきなり本画に描くのは難しいので、いつもの落書き帖に描いてみた。 技術が伴わないが、「こころ」とし […] 続きを読む
画を描く筆の話 「弘法筆を選ばず」という言葉があるが、画の老師は将にその通りだ。 さして高級とは思えない筆を手に持って、太い線でも細い線でも、松の葉でも、滝の糸でも 大木の幹でも笹の枝でも、豪快な岩山でも、繊細な遠山のシルエットでもなんでも かんでも一本の筆で描いてしまう。それもごく自然に描き分けている。 実に凄い。 私はこんな真似はできないから、筆を選ぶことになるが、こんな風に多用途に使い分けられて、 使い心地 […] 続きを読む
訪友 先日は久しぶりに老朋友達と会って酒を飲んだ。 みんな其々個性があり、いろんな話題で話がはずむ。 仕事の話、水墨画の話、書の話。 旅行の話、遊びの話。 普段、仕事でもプライベートでもあまり接点のない人たちでも、たまに こうやってあつまって酒を飲みうだうだと過ごすのは、嬉しい事だ。 そういえば、昔の水墨画でも、山中に友を訪ねたり、幽境に遊ぶ仙人 を訪問する画がよくある。 いつの日か山の奥に住んで、この […] 続きを読む