もう古い話ですが、この曲は映画「華の乱」でバックに流れていた曲だと思います。
この映画は、大正ロマンを彩った人たちの生き様を与謝野晶子、有島武朗を軸に、描いたものです。
与謝野晶子は女性の愛と情熱を率直に歌に詠むという事を始めた人です。
自分自身も奔放とも言える生き方をしながら、大量の歌を世に出しつづけました。
しかし、一方では、夫の鉄幹をしっかり支え、11人の子供を育てあげるという明確な人生も持っています。
この人の、ありあまる愛と情熱の心のゆれが彼女の人生の中でどう消化されていたのでしょうか。
この映画では、有島武朗という、心はひたすら死に向かって走る男の、それ故に妖しく美しい情念に惹かれていく女の物語として語られています。
愛とか、嫉妬とか情熱とか理性とか生とか死とか、相反するものが、いろんな登場人物の中で交錯しからまっていく中で、まさにこのような心の動きを歌うかのようなこの歌曲はあまりにも感動的でした。
美しく悲しい歌曲集です。
時にはこういうもので身を浄めたいものです。
毎週木曜は映画、音楽書画に関する話です。