シンガポールというところ

さあ、食事に行きましょうということで、出てきたのは黒いBMW。
さすがに、著名なグローバル企業のある部門のアジアブランチをまかされているだけあって、りっぱな車に乗っている。
彼の運転で、車はすべるように市内を走る。独特の交通規制がきいているのか市内に殆ど渋滞はない。
日本にETCが導入されるかなり前から、有料道路の自動的に通れる。
目指すビルの駐車場も全く同じ仕組みで処理されるそうだ。
さすがにシンガポールはITインフラ先進国だ。
そして、食事はフランス料理。
彼は、フランス人で、シンガポールまできて、得意の英語で今のビジネスを切り開いたそうだ。
ワインを飲みながらの昼食。ビジネスでも食事でも、迫力に圧倒されそうだ。
彼とは、後に上海で食事をすることになった。
その時は、こちらがリード。
食の国のフランス人でも、食事に少なからず偏見を持っていることが分かった。
見た目に材料が想像できる料理でないと箸をつけない。

こんな風に急にシンガポールを思い出した。
先日、古本屋を覗いていたら、金子光春の「西ひがし」という単行本に出会ったからだ。

「ねむれ巴里」、「どくろ杯」の三部作の一つで、
文庫本で随分前に夢中で読んだけれど、改めて読み返してみた。
ブリュッセルからマルセイユを経てシンガポールにたどり着く。
ジョホールやバトパハ(Batu Pahat)などなど、マレーの街々を
見事に生き生きと書いている。
「猛夏烈日の十字路・・・
見知らぬ白素貞・・・白蛇の精・・・・   」

放浪の詩人とか言われているけれど、
放浪記とか旅行記とかいった印象ではなくて、アジアの街、マレーの街々を、今読んでも新鮮に思えるほど、生き生きと語っている。

そういえば、「花様年華」という映画も最後はシンガポールだったな。
村上龍の「ラッフルズホテル」というのもあったな。

sg071021

一度プライベートで金子光春の「マレー蘭印紀行」のあとを辿ってみたいものだと考えた次第だ。