九条の草鍋、「小川下」

九条の商店街の裏通りは夕方まだ早いが、人通りは既に少ない。よく来るシネヌーボーの
近くだ。ひっそりとした街角に暖簾がかかっていた。
「小川下」と書いて「こかげ」と読む。
「草鍋」というのが有名だそうだ。「草鍋?、けったいな名前やなあ」
「ベトナムを思い出すやんか」
ベトナムに行ったら、料理に草が山のように出る。生の葉っぱだ。フォーという麺の
中にどさっと入れたり、鍋の中に入れたり、何でもかんでも包んで食べたりする。
そんなものとは違うやろうけど、面白そうなので食べに来たのだ。
店に入ると何かの宴会のように沢山の席が向かい合わせ、2列にびしっと並んでいる。
更に幾つかテーブル席もある。多分2階にはお座敷がありそうだ。
「お客が多いんやなあ」
席についたら、飲み物の注文を聞きに来て、突き出しを進められる。
とりあえず、小芋とぬたを頼んだ。
これはなかなかうまい。

他は何も聞かない。みんな、「草鍋」って決まってるんやろ。
しばらくすると、どんと鍋が置かれた。
なるほど、山のように草がのっている。これが火が通っていって煮崩れしていったら
ええ味になるやろう。
程良く煮えたら、なかなか美味しい。出汁もいける。
食べてる間に、粒の山椒が見えたので入れたらおいしいかと思い、「山椒もらえる?」
と聞いたら、「これは違うよ」といいながらも、酒のあてに小皿にいれてくれた。
山椒の実を煮たものだ。痺れと香りがしっかりあっておいしい。
なかなか面白い鍋であった。
常連さんで一杯の店だ。

店名 小川下
ジャンル ちゃんこ鍋
住所 大阪市西区九条1-16-13
電話 06-6582-2750