最近読んだ本、「鉄の胡蝶は」、「昭和の消えた 仕事物語」。

  • 2026年6月4日
  • 8人

「鉄の胡蝶は」

保坂和志 著

記憶と意識と思考が入り乱れて織りなされる物語。

というか、物語的な物語ではない。

小説であるが、小説でない。

とても難しいけど読みやすい。

眼の前にあるのはごく普通の事。日常のこと。

そのことについて、流れる意識。意識は時空に関係しない。か?

カフカの短編集を読んでるような。

ピースの病気

イサム・ノグチの山

井の頭線で見た少年

山下澄人は小説家デビューをしていた

母猫と子猫

友達の母親の通夜

Tさんはあの人の前で十代に戻っていた

セザンヌの静物画 サント・ヴィクトワール山?

沢井綾子が何度も出てくる。

溺れた話 助けられた話

蝦蟇とアオダイショウ

船乗りの父と鎌倉の思い出

猫に教えてもらった事。

フロイト、小津安二郎

サザンにビートルズ

カフカ。

何だか、心が揺れる。

思い込みを揺さぶられる。

カフカの短編集を読み直そう。

「群像」を買いに行こう。

すごいですなあ。

わしの勝手なお勧め度。

星四つ半。

「昭和の消えた 仕事物語」

澤宮優 著。

確かに、「仕事」はどんどん消えて行ってる。

昔ながらの商店街はもう殆ど何処にもない。

モノは直すより買い直した方が安いし、早い。

町内の知り合いのおじさんおばさんからモノを買うより、スーパーやコンビニ買った方が安い。

時代が変わってしまった。

店がなくなり、庶民の仕事もどんどんなくなってしまった。

この本では、そのなくなった仕事を追いかけ、尋ねる話。

始めは、放浪詩人、高木譲の「放浪の唄 ある人生記録」をベースにその凄まじい放浪生活を支え、飯食うネタになった仕事を、その放浪記録から見ていくという話。

仕事そのものもさることながらそのどん底くらしの凄まじさとそこからうまれる詩のココロがとても魅力的。

懐かしい仕事がたくさん出てくる。

聞いたことあるけど、見たことない仕事も多い。

宗不旱の話もエエですなあ。

ポン菓子を作った吉村利子の話も素晴らしい。

大阪富田林で教師をしていた彼女が、弁当を持ってこれない朝鮮人の子どもが弁当泥棒をしたのを見て、手軽に安くて腹持ちの良い食いモンがつくれそうなポン菓子機を作りたいと思った。

モノもなければモノを作る機械もない時代。

なんとか図面を作ってもらって、鉄のある場所ならと北九州まで行って、

とうとう作ってしまう。

それを作る会社まで作ってしまった。

この執念。この根性。

不屈の精神。凄まじい。

すばらしい。

鋳掛屋さんもなくなった。

番傘屋さんもなくなった。

桶屋さん。時計屋さん。眼鏡屋さん。雑貨屋さん。風鈴屋さん。豆腐屋さん。魚屋さん。八百屋さん。

アイスキャンデー、煎餅焼くとこ、酒屋、米屋、塩屋・・・

個人の店はどんどんなくなっていく。

看板だけが寂しく残ってたりする。

悲しいですなあ。

一番寂しいのは本屋さんがなくなったこと。古本屋、貸本屋も。

前半はとても面白い。

わしの勝手なお勧め度。

星四つ

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