「浪華燃ゆ」。
伊東潤 著
「わしは己に厳しくあらねばならぬ。この男はすべての不正を許さない。」
戦乱がなくても、黒船が来なくても、目に見えた何かが分からなくても、静かに国が壊れて行く時がある。
大塩平八郎が生きた時代。
大阪は商人の都市である。実は武士が少ない。
役所も手が回らん。当然悪いやつが増える。
こんなときに不正がはびこる。賄賂、みのがし、つけとどけ・・・お主も悪よのう・・・
いつの世も、大きな問題はコメの値段。
相場は大阪にあっても政治は江戸が握ってる。しかも、飢饉が度々ある。
困った時に酷い目にあうのは、農民と貧乏人ばっかり。
大塩平八郎は我慢できない。
町奉行所に努めながら、朱子学を学び、陽明学を学ぶ。
素より不正を憎む男。学問は実践を求める。
しかし、長いものには巻かれないと生きていくのが難しい。
出世もできへん。
それでも、節を曲げない。
・・・お主も悪よのう・・・ にはなれへん。
いつか人はついてくる?
許せんことは許せんのやから・・
負けるとわかってる戦に、突き進むのは・・なぜか?
難しい課題の本ですなあ。
時代が動き始めたら、目を覚ます人がいる。
声が大きくなったら初めて激震が起こる?
そう言えば、「振り向けば朝」という本がありましたなあ。
この本とはかなり視点がちがうけど、大阪にもこんな人がいたのだ。
今はどうなんでしょうなあ。
エエ世の中とはとても思われへんけど。
いつか天の声は聞こえるのか。

わしの勝手なお勧め度。
星四つ。
「虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ」
ティム・オブライエン 著
彼は何も求めず、世界はそれにしっかり応えた。朝食にウィスキーを1杯、昼食に1杯、一日の終りにダブルを1杯。
これは、面白い。
奇想天外。わけわからんけど、目が離されへん。
ミステリーか? ロードトリップか? ただの冗談か?
カリフォルニア州、フルダにボイド・ハルヴァーソンという男がいた。
JCペニー・ストアに務める平凡な人間。
ある朝遅く、地元のコミュティー・ナショナル銀行に向かった。
なぜか不思議なことに枯葉拳銃を持っていた。
銀行にいたのは、事務員のアンジー・ビング。超小柄で赤毛の女だ。
たまたまそこにあった8万1千ドルを奪って逃走。
アンジーを連れて。何故か?
連れてきたのか、ついてきたのか?
メキシコに逃げる。見せかけのため?
そして、どこに行く? ボイドには目的がある?
不思議なことに、銀行強盗は正式な事件になっていない。それは何故か?
アンジーはさらわれた女のはず。いつのまにか、仕切っているの?
ボイドはいかねばならぬところがある?
元妻と何があった? 元妻の今の夫は?
だんだんとわけわからんようになってくる。
ボイドがやってきたのは? 昔暮らした家?
バスの屋根に穴を一つ開けた?
いったい何をするつもり? どこへ行く?
彼らを追う男たちがいる? なぜ?
奪った金と奪う?
とても面白い。
とても、わけわからん。それが面白い。
事態はどんどん複雑に。どんどん怪奇に。
だれが敵か? 誰が味方か?
わけわからん。
超豪華な邸宅に侵入して暮らす。
時には優しい涙も・・・
いったいどうなる。
とても面白い。

わしの勝手なお勧め度。
星四つ半。
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