最近読んだ本、「ドゥルガーの島」、「カフカ短編集」。

  • 2024年10月2日
  • 13人

「ドゥルガーの島」

篠田節子 著。

あじあん

「その女神の名を唱えてはいけない」

何年か前にインドネシアのボルブドール遺跡に行ったことがある。

なんで行ったかと言うと、それよりずっと前に、「アンリ・カルティエ・ブレッソン」という有名な写真家の写真集でたまたま見つけて感動したのだ。

ボルブドールの廃墟の中にたたずむ老婆一人、遥か向こうには火山が薄く煙を吐いている。

そんな写真だ。

こんなとこを見て絵に描きたいってすぐに思ったのだ。

しかし、残念ながらなのか、よかったのか、ボルブドール遺跡は見事に復活再建されていた。

ジャングルの中で見つかったただの瓦礫の山から、壮大な仏教(ヒンズー)遺跡が再構築されたのだ。

この本にあるようにハンドベル型の仏塔と仏像が丘の上に円錐形に並べられ、その数はその丘を埋め尽くすようだ。仏像はみな、正面の火山の方を向いている。

下の方、基部の表面は見事な彫刻で埋め尽くされている。

仏陀の誕生物語や、地獄極楽、いろんな説話が彫られているのだ。

着いたのは夜明け前、真っ暗な静寂の中に、正面の火山の2つの峰がシルエットになって浮かんでいる。その山の後ろから日が昇るのだ。

すばらしく荘厳な眺めだった。

加茂川一正、カモヤンは大手ゼネコンのインドネシア支社で、ボルブドールを公園として整備する仕事をしてきたらしい。

インドネシアにとりつかれた男だ。

48にもなって20以上離れた相手と3度目の結婚、それも逃げられた。

その痛手から立ち直れない。

会社をやめて、インドネシアに行こう。

スマトラ島の海中で見つけた、遺跡らしきものを発掘に行くのだ。

幸い静岡海洋大学の水中考古学の学者が興味をしめして、調査隊を派遣してくれた。

一緒にスマトラ島に行こう。

水中のボルブドールを発見しよう。

とても面白い。

ワクワクドキドキが始まる。

さて、一行は、スマトラのネビ島という辺境の島へ。

そこに暮らす海の民とは?

彼らが守る伝説とは?

町にすむ人たちは、われわれは土着の民ではないと言っている。

先祖は遠くアラビアから流れ着いたイスラムの民だと言う。

われわれは正統なイスラム教徒の末裔なのだ。アッラーの教えは絶対だ。

偶像崇拝はしない。

やつらは、野蛮な首狩族だ。何をされるかわからんぞ。殺されるぞ。

果たして、海のなかに遺跡が見つかるのか?

海のボルブドールは存在するのか?

あるいは、街の遺跡が?

そして、島に、不気味な鳴動が始まった。

火山が爆発するのではないか?

避難命令が・・・・

そして・・・

とても面白い。

ブルブドールよりさらに古い遺跡?

遠くの国から船でやってきた王と島の火山を守女神が契約を結ぶ?

それは、いつの・・・

街を滅ぼしたのは火砕流か? 津波か?

とても面白い。

死にたくなかったら山に登れ!

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ半。

 

「カフカ短編集」

カフカ 著。

あじあん

「あらゆることに、わたしは失敗する。いや失敗することさえできない。」

すごい。

まさにカフカの世界。

面白いけど、わけわからん。

延々と語られるカフカワールドになんだか引き寄せられる。

難しい、ココロがゾワゾワする。不条理で不思議で、妖しげで・・

ドキドキワクワクしいへんけど・・

・判決

ゲオルグがペテルブルグにいる友達に手紙を書いた。

フリーダという資産家の令嬢と婚約したことを知らせる手紙だ。

父がいる。

ゲオルグ、わしを騙さないでくれ。つまらないことじゃないか。口にする値打ちもないことじゃないか。いったいおまえにはほんとうにペテルブルグに友達がいるのか?

本当に手紙を書いたのか? 本当に手紙を書くつもりなのか?

彼は全てを知っているのに。

わしはお前に判決を下す。

・火夫

女中に誘惑され、そのために女中に子どもができてしまったので、貧乏な両親にアメリカに送られた16歳のカール・ロスマンが、すでに船脚をゆるめてニューヨークの港に入りかかっている船の上から、もう長いこと自由の女神の像を眺めていると、ふいにそれが輝きを増した太陽の光に照り映えて見えた・・・

カールは船室に傘を忘れてきた。取りに帰らねば。トランクを誰かに頼んで急いで戻る・・・

火夫がいた。

そして・・・

叔父と船長、上院議員・・・

・流刑地にて

「これはじつに独特な機械なのです」と、士官が学術探検家に言って、思わずこらえきれない感嘆の色を浮かべた視線で、彼には珍しくもないはずのその機械をあらためて眺めた。

機械とはなにか?

三つの部分から成っています。下の部分は寝台、うえの部分は図案家、そして、真中の、宙に浮いている部分は馬鍬と呼ばれているのです。

寝台に死刑囚を寝かせる。馬鍬が刑を執行する?

どうやって?

果たしてなにが?

・田舎医者

まちがって鳴らされた夜の呼鈴について行こうものならーー

・断食芸人

・父の気がかり

・天井桟敷にて

・最初の悩み

・万里の長城

・掟の問題

・市の紋章

・寓意について

・ポセイドーン

・猟師グラフス

・独身者の不幸

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ半。

あじあん

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